臨床上、遭遇する機会が多い足首の相談。
特に親御さんからの相談で
「立っている時に足首が内側に曲がり足の外側が浮くような状態なのですが大丈夫でしょうか?」
とういうものです。
多くの場合、外板扁平足は子供です。
小学校高学年くらいで自然に良くなってくることが多いので、それほど気にする必要はありません。
病院なのでは足底板などで治療することが多いようです。
数は少ないのですが、大人の方からも相談されることがあります。
解剖学的に、何が起きているのか解説します。
「外反扁平足」について
「外反扁平足」は、距骨下関節回内+リスフラン関節(足根中足関節)内返し+踵骨の回内、距骨の底屈・内旋+下腿の外旋が起きています。
実際には、もう少し細かく書くと、中足骨の問題もありますので、もう少し複雑になります。
足首には、たくさんの骨があり、とても複雑な動きをしています。
〇〇が「外反扁平足」の原因なので、これをやれば改善します!
と言いたいところですが、話はそれほど単純ではありません。
距骨下関節が回内ですが、回内するためには、内側の縦アーチ(土踏まず)が低下します。
足の内側縦アーチを維持するものは、筋よりも靱帯です。
さらに、距骨下関節の回内の動きで接地期の間に距骨下関節が回内しうる最終域は
- 距骨下関節と横足根関節の運動軸の先天的な位置
- 関節面の形状
- 骨を連結する靭帯の順で制限されている
「筋の果たす役割は大きくない」となっています。
参考論文
https://trove.nla.gov.au/work/22705060
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3102962/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4089968/
つまり、回内足の可動域は、骨性や靭帯によって決まっている部分が大きく、先天的な要素があります。
となっています。
そもそも距骨は靭帯で筋肉が付着しない唯一の骨です。
9個の靭帯で支持されています。
回内足で「筋の果たす役割は大きくない」というのは、最もなことですね。
ただ、参考文献にもありますが、例外的なケースも多数あります。
これは、身体の構造は個人差が大きいと示唆していると言えます。
人種や性別が違えば、大いに考えられるます。
また、親と骨格が似るという観点からも、回内足が遺伝的に影響するのかもしれません。
しかし、足部の環境要因に左右されることも大いにあります。
子供の場合、靭帯などの弛緩性が高く、成長と共に適度に締まってきて外反扁平足が改善されていく可能性があります。
大人の場合は、また違う考え方をする必要がありそうです。