これから増える相談で多いのが「足が攣る」というもの。
運動中や睡眠中が多いのではないでしょうか?
脚が攣るのを防ぐノウハウとしてYouTubeやSNS,ネットなどでは
- マッサージ
- ストレッチ
- 運動
- 温める
- 水分補給
- 栄養補給
などが紹介されています。
実際のところどうなのかリサーチしてみました。
結論 「収まるまで待つ」が主流
足がつったらその部分をストレッチするように伸ばしても、実際のところはその効果としてははっきりしていません。
最近の研究では、そのまま収縮の伝達が「収まるまで待つ」という極めてシンプルな処置が主流です。
アメリカンアカデミーオブニューロロジー(神経学)での発表で、足がつるのは「筋肉」の問題ではなく「神経」の問題だと言及されました。
α運動ニューロンという筋肉の収縮の検出器が繰り返し発火をして過剰な収縮を促しているからという見方が現在では広がっています。
参考論文
https://www.aan.com/PressRoom/home/GetDigitalAsset/11529
筋肉を収縮する神経に対して「頑張れ!頑張れ!」という伝達が出ているのに対して。
「抑制する、頑張りすぎるな!」という伝達のバランス出てしまい、暴走のような状態が原因という事です。
要は過剰な興奮に対して、抑制が追いついていないという状態です。
充分な水分や電解質を摂取していても、競技中に足がつることは避けられないようです。
ミネラルや電解質でつることが防げないなら、何を取ればいいのでしょうか?
アメリカのスポーツ栄養士のAlan McCubbinは「ピクルスの汁」を勧めています。
参考論文
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19997012/
要するに酢のことですね。
酢を摂取することにより、神経的な反射による筋肉の過剰な収縮を抑えることができるなっています。
他には、生姜やシナモンなど神経作用を抑えるものも同様の効果があるとして勧められています。
αーγ関連をうまく使えば効果的?
脚が攣るのに大きく関わる関わるαーγ関連というお話しから。
筋肉は
- 錘外筋
- 錘内筋
と分けられます。
運動の際に、筋肉のセンサーである筋紡錘から筋肉の長さ・早さの情報が脳にフィードバックされます。
筋肉の長さ・早さの情報を伝達するのがIa線維です。
Ia線維から脊髄などを介して動くように命令されて伝えるのがα運動ニューロンです。
α運動ニューロンによって錘外筋が収縮します。
錘外筋の収縮と共にγ運動ニューロンによって錘内筋も収縮します。
つまりα-γ連関とは、 α運動ニューロンが活動する際に,γ運動ニューロンも同時に活動することです。
α-γ連関とは、筋肉が収縮しても筋紡錘の活動を一定に保つための重要な協調作用です。
仮に、α運動ニューロンだけが活動すると錘外筋のみが収縮して筋紡錘が緩んでたわんだ状態になってしまいます。
これでは筋活動が適切に行われません。
また、γ運動ニューロンが過剰に働き過ぎると筋が緊張しっぱなしになってしまいます。
α運動ニューロンとγ運動ニューロンが同時に活動をすると、錘内筋、錘外筋両方収縮に働きます。
γ運動ニューロンが活動すると錐内筋が収縮します。
筋収縮と筋紡錘の収縮の程度が同じくらいに調整されているということは、筋が伸張された時に筋紡錘が正常に活動し筋活動が適切に行われることになります。
この協調作用が乱れると実際は筋がゆるゆるなのに硬く感じたりすることがあります。
筋がゆるゆるなのなのに硬く感じる状態で、いわば筋力が発揮できない状態なのに、無理に動かすことで、錘外筋を収縮させることで、ブチっと足が攣ってしまう可能性があるわけです。
また、足が攣る以外にも、足がブチって行ってしまうことがありますよね。
久々に走ったり、例えば
- 信号で走る
- 電車に乗るために駅にダッシュ
するとふくらはぎをブチッとなるケースは多々ありますよね。
その際「しっかりストレッチ・マッサージしておけばブチッとならなかったかも・・・」と思ったかもしれません。
ストレッチ・マッサージしていても関係がない可能性もあります。
逆に、筋紡錘の状態がゆるゆるの状態にもかかわらず、ストレッチをすることで、筋力は上手く発揮されずに逆にストレッチにより状態を悪化させてしまう可能性もあります。
では、どうすれば良いのでしょうか?
先述したとおり、αーγ関連が重要です。
収縮ー弛緩ー収縮ー弛緩を繰り返す場合、特に反復する動きやランを含んだ競技はこのαーγ関連が重要です。
自分でチェック場合、硬く感じたらすぐにストレッチではありません。
動いて硬く感じたら一度数秒軽くストレッチをします。
再度動いてみて筋力が上手く発揮できない、上手く体が動かせないと感じたらその部分をストレッチせずに、収縮ポジションで少し維持してみてから動きを確認します。
αーγ関連を使った考え方です。
足が攣った場合、予防の場合にも、αーγ関連を使った考え方が使えます。
闇雲に伸ばしっぱなしにするのではなく
収縮ー弛緩ー収縮ー弛緩
を行うことで、正常な筋肉の状態に戻すイメージでしょうか。
「脚が攣って痛い・・・(こむら返り)のメカニズムについて
実は、なぜ「脚が攣る(こむら返り)」といいうのは未だに議論の対象で、まだ未解明なことが多いのです。
- 電解質不足
- 神経系
- 筋関係
などが議論の対象になっています。
先ほど書いたαーγ関連は筋関係の話ですね。
そういった意味では、脚が攣る=αーγ関連を使ったストレッチで全てが解決するわけではありません。
この論文ではマラソン後に「つった人」と「つらなかった人」では電解質や脱水状況は差がなかったのに対し、筋損傷の数値は足が攣った人では高かったとなっています。
参考論文
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32796418/
過去に筋骨格系傷害があったら運動後の筋損傷の数値も上がります。
疲労していたら損傷もダメージも起こりやすいです。
筋損傷の有無にかかわらず電解質不足でも筋力のパフォーマンスは低下するので単純には言きれない話ですね。
「脚が攣って痛い・・・(こむら返り)」の予防・対策について
足がつったらその部分をストレッチするように伸ばしますが、実際のところはその効果としてははっきりしていません。
最近の研究では、そのまま収縮の伝達が「収まるまで待つ」という極めてシンプルな処置が主流です。
予防の話でいうと
- マッサージ
- ストレッチ
- 運動
- 温める
- 水分補給
- 栄養補給
どれか1つということではなく、全部適切に行うと良さそうです。