扁平足 解剖学 足のトラブル

回内足(扁平足)は筋力トレーニングしても治らない?!

よく臨床上見られる回内足(扁平足)。

身体に不調がある方に多いのが、回内足でもあります。

よく質問されるのが、回内足を改善するためのトレーニング方法です。

「これをやれば回内足を改善する!」

という方法はあまりみません。

個人的にリサーチしてみました。

参考にして頂けると嬉しいです。

回内足(扁平足)は、あまり筋力には依存しない。

足の内側縦アーチを維持するものは、筋よりも靱帯です。

さらに、距骨下関節の回内の動きで接地期の間に距骨下関節が回内しうる最終域は

  • 距骨下関節と横足根関節の運動軸の先天的な位置
  • 関節面の形状
  • 骨を連結する靭帯の順で制限されている

「筋の果たす役割は大きくない」となっています。

参考文献

https://trove.nla.gov.au/work/22705060

つまり、回内足の可動域は、骨性や靭帯によって決まっている部分が大きく、先天的な要素があります。

となっています。

そもそも距骨は靭帯で筋肉が付着しない唯一の骨です。

9個の靭帯で支持されています。

回内足で「筋の果たす役割は大きくない」というのは、最もなことですね。

ただ、参考文献にもありますが、例外的なケースも多数あります。

これは、身体の構造は個人差が大きいと示唆していると言えます。

人種や性別が違えば、大いに考えられるます。

また、親と骨格が似るという観点からも、回内足が遺伝的に影響するのかもしれません。

しかし、足部の環境要因に左右されることも大いにあります。

また、距骨下関節の関節の動き方の定義が異なるということもありそうです。

距骨下関節の動き

距骨下関節という関節の動きには回内、回外があります。

回内・回外以外には

  • 内転・外転(18,5〜9,9度)
  • 内がえし・外がえし(18.6〜13度)
  • 底屈・背屈(11.2〜5度)

の動きがあります。

文献によって距骨下関節や横足根関節の運動軸の表記が異なります。

例えば、距骨下関節の運動軸

  • 水平面 69〜20度
  • 矢状面 47〜4度

参考論文

https://ci.nii.ac.jp/naid/130007483891

https://ci.nii.ac.jp/naid/130005175225

回内足と扁平足は厳密には違う

臨床を行なっていて見ることが多い扁平足の大半は、「回内足」によるものです。

先天的なものを「扁平足」と呼びます。

*ドイツなどの足病医は、扁平足と回内足を明確に区別しています。

私は、患者さんに説明するときは、あえて「回内足」を「扁平足」と説明することがあります。

「回内足」と説明しても、なかなか患者さんには伝わりにくいですから。

「回内足」を「扁平足」は厳密には違うわけです。

「回内足」を「扁平足」では、アプローチの仕方が変わることがありますので、明確しなければいけない位場合もあります。

足首の慢性疾患は、障害部位は足首の内側に偏る

足首は様々な障害が起きる場所です。

足首の慢性疾患は、障害部位は足首の内側に偏っています。

  • 足底筋膜炎
  • 外反母趾
  • 外脛骨障害
  • 母趾種子骨障害
  • 足根管症候群
  • 第1・第2Kohler病

などです。

他の足の疾患でも距骨下関節の回内が影響していることが多いです。

ここでも、やはり扁平足と回内足は区別する必要があります。

回内足を改善するトレーニングは?

回内足の方は、内側縦アーチの低下がみられます。

低下している内側縦アーチが上がれば、距骨下関節の回内が改善する可能性があります。

足部内側縦アーチの形成は、足部の内・外在筋が重要です。

特に足部内在筋の筋力低下や萎縮の低下に関与するとされています。

内側縦アーチの低下するケースに対し、タオルギャザーエクササイズを用いることが多いです。

最近の研究では、タオルギャザーエクササイズでは効果が乏しいという意見が多くなってきています。

もし、タオルギャザーエクササイズを行うのでしたら、「 膝関節伸展位・足関節最大底屈位で行った場合、優位な変化が出た!」という報告があります。

参考論文

https://ci.nii.ac.jp/naid/130005175225

内側縦アーチには、足部内在筋が重要です!

膝関節伸展位・足関節最大底屈位でタオルギャザーエクササイズを行い、なぜ優位な変化が出たのでしょうか?

膝関節伸展位・足関節最大底屈位で行うことで、足部外在筋の起始停止が近づき弛緩します。

足部外在筋の起始停止が近づき弛緩することで、足部内在筋への要求が高まったことによります。

また、出来るだけDIP関節の関与を減らしタオルギャザーエクササイズを行うことで、さらに長拇趾屈筋、長趾屈筋の関与が減ります。

長拇趾屈筋、長趾屈筋足趾の活動が減ることで、結果として足の内在筋の活動が増加します。

以上により、「 膝関節伸展位・足関節最大底屈位でタオルギャザーエクササイズを行うことで、内側縦アーチの、舟状骨の高さに変化が出たと考えられます。

この膝関節伸展位・足関節最大底屈位でタオルギャザーエクササイズというのは、見た目以上にめちゃくちゃキツイです(笑)

http://www.jptrs.org/journal/view.html?doi=10.14474/ptrs.2016.5.2.78

おまけ

よく患者さんに指導している簡単なエクササイズをご紹介します。

場所や器具も使わずに行えるトレーニングなので、続けやすいかと思います。

これも足の内在筋肉を鍛えるトレーニングです。

トレーニング法は簡単です!

この状態から。

①ギューと足の指を握りこみます。

②30秒くらい頑張って握ります。

注意点とすれば、出来るだけ親指を直角に曲げて行います。

ただ、最初はなかなか曲がりません!

デスクワーク中などもできます。

簡単でシンプルですよね?

③以上を何度か繰り返します!

コツとすれば、手でゲンコツを握るイメージで、足でもゲンコツを握るイメージで行います。

足の指だけで握るのではなく、中足部なども含めて、足全体で一体感を持って取り組むことがコツです。

足の指に筋肉がつくまで、反復練習あるのみです。

1ヶ月もやっていると効果を感じられるでしょう!

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川崎浩司

「ながさき整骨院」代表  川崎浩司

厚生労働大臣免許 柔道整復師

2012年開業 目立つ看板を出さずひっそりと口コミ中心のスタイルで運営中。

人見知りで人前で喋ったり、目立つことが苦手なのに、うっかり(株)医療情報研究所から2018年に全国の徒手療法家向けのDVDを出版

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