呼吸は、生きていく上で最も重要な行為です。
安静時の健康な成人の平均的な呼吸数は、毎分12~20回、1回換気量は450~500mlとなっています。
1日あたりの呼吸回数はというと、18,000〜28,000万回と言われています。
そんな重要な呼吸ですが、普段あまり生活して意識することはないと思われます。
もし仮に、意識して毎日18,000回何かを行うとしたら、大変なことです。
食事で言うと、1ヶ月くらいは食べなくても水分だけ飲んでいれば、なんとか生きていくことは可能です。
1〜2日間くらいは、水を飲まなくてもすぐに死ぬことはありません。
健康的はどうかは別にして・・
5分間、呼吸が止まるだけで生命を維持することは難しくなります。
健康を考えるならば、食生活や運動習慣なども大事ですが、呼吸にもっと目を向けるべきではないでしょうか?
食生活や運動も大事ですが、呼吸も健康には大きく関わります。
食生活とアレルギー症状の関係は、今でこそ気にしてる方が多いですが、呼吸とアレルギー症状も関わりがあります。
呼吸について解説します。
呼吸について
呼吸は2種類に分けられます。
- 内呼吸(細胞呼吸):血液と細胞とのガス交換。細胞が最終二酸化炭素 (CO2) を放出する異化代謝系。
- 外呼吸:空気と血液とのガス交換。多細胞生物体が外界から酸素を取り入れ、体内で消費して二酸化炭素 (CO2) を放出すること。
簡単に言うと、呼吸とは「酸素を取り入れて、二酸化炭素を出す!」です。
呼吸は4つのステップがあります。
- 喚起 空気が気管を通り、常に肺から出入りします
- 外呼吸 ガス交換(酸素の供給と二酸化炭素の排出)が肺内の血管と肺胞の間で行われます
- ガスの運搬 酸素と二酸化炭素が血流にのって肺から各組織へ、あるいは組織から肺へと運搬されます
- 内呼吸 各組織の毛細血管にて、血液と組織細胞内でガス交換が行われます
換気 吸気のメカニズム
換気はどうやって起こっているの?
息を吸うメカニズムについて解説します。
気圧差によって生じる
自然の摂理を利用しています。
重力を利用して身体活動することができます。
換気は「気圧」をうまく使って行われて今う。
地球の大気は、1013hpaという圧力であり、1気圧と定義されています。
1気圧は1,0336cmH2Oです。
換気で、体内に空気が入り込んでくるのは、気圧差を利用しているのです。
気圧は必ず圧の高い方から、低い方へ流れます。
「陽圧から陰圧へ」と言うことですね。
- 吸気時の内圧 -5~10cmH2O
- 呼気時の内圧 -2~ 4cmH2O
です。
胸膜腔内圧は、常にマイナスで、気圧よりもだいぶ低いです。
体内に常に一定の空気が入ってきますし、さらに筋肉を活用することで圧を下げ、空気をさらに体内へ呼び込みます。
このメカニズムが「吸気(換気)」です。
参考文献
http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/5resprtxt.pdf
吸気に働く横隔膜の3つの機能
吸気に働く最も重要な筋肉といえば、横隔膜です。
余談ですが、焼肉屋さんでよく見る名前のハラミ、サガリは牛の横隔膜です。
腹側の肋骨に接する部分をハラミ。
背側の腰椎に接する部分をサガリと言います。
横隔膜は哺乳類にのみ存在します。
安静時呼吸において、横隔膜は吸気の70〜80%を担っています。
残りの20%は肋間筋や斜角筋などです。
つまり、横隔膜の機能が低下した場合、それを補うために斜角筋などの首の筋肉が代償動作として働きます。
さて、そんな横隔膜には3つの機能があります。
- 呼吸
- 姿勢維持
- 括約
1 呼吸
横隔膜が収縮すると、胸郭の垂直径、横径、前後径の拡張を起こし、「胸腔体積」が増えます。
胸腔体積が増える=さらに陰圧になることであり、外界から空気が流入してきます。
つまり
- 横隔膜の下降とそれに伴うドームの平坦化により、胸郭の垂直径が増す
- 横隔膜の下降によって腹圧上昇し、下位肋骨が側方へ拡張
- 腹横筋や内臓の反発を受け、起始と停止が逆転し横隔膜肋骨繊維が収縮、中位・下位胸郭が拡張する
2 姿勢維持
横隔膜の機能の1つに姿勢維持があります。
横隔膜だけが関与するわけではありませんが、貢献度は高いです。
横隔膜が収縮すると腹腔に圧力がかかり、腹腔内圧 が上がり、姿勢維持に働きます。
具体的には、3つの働きにより脊柱安定効果があります。
- 脊柱伸展モーメントを発生させる
- 脊椎椎間配列を整え、関節突起間関節の剪断力を最小限にする
- 腹腔内圧上昇により、腹筋群の発揮効率を維持する
呼吸と姿勢維持とは関わりがあることがわかります。
3 括約
横隔膜の中央には、3つの穴が空いています。
- 食道裂孔
- 大静脈孔
- 大静脈裂孔
ここには、食道と左右の迷走神経、大静脈が通っています。
大動脈は後ろ側にあります。
食道と静脈は内容物を先へ送る機能がありません。
そのため、横隔膜の筋の活動(括約)で先へ送る必要があります。
呼吸と横隔膜の筋の活動(括約)は関わりがあることがわかります。