Joint By Joint Theory(ジョイント・バイ・セオリー)は、アメリカの理学療法士のグレイクック先生が提唱している考えです。
Joint By Joint Theory(ジョイント・バイ・セオリー)は、簡単にいうと、人間の関節には、それぞれ主となる役割があるという考え方です。
例えば、頚椎は、スタビリティ関節。
胸椎はモビリティ関節ということです。
Joint By Joint Theory(ジョイント・バイ・セオリー)について解説します!
Joint By Joint Theory(ジョイント・バイ・セオリー)の関節の機能2つ!
関節の機能には、二つの役割があります。
- モビリティ関節
- スタビリティ関節
1 モビリティとは?
モビリティとは、モバイル・アビリティと考えることができます。
「可動させる能力」という意味です。
モビリティは、フレキシビリティ(柔軟性、可動域)とは違います。
フレキシビリティと固有受容器(位置、動き、力の感覚受容器)が働くことで、モビリティが正常に獲得できます。
モビリティ関節とは、「関節を可動させる能力」のある関節ということです。
2 スタビリティとは?
スタビリティとは、スタビライズ・アビリティのことです。
スタビリティ「安定させる能力」と言えます。
スタビリティは、「固定」とは違います。
難しいのが、スタビリティとは、筋力の強さとも異なります。
スタビリティとは、動きの中で、適切なタイミング(適切なブレーキ)で関節を安定させられる能力のことです。
スタビリティ関節とは、「関節を安定させられる能力」の高い関節のことです。
Joint By Joint Theory(ジョイント・バイ・セオリー)の解説!
画像引用元
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/Joint-by-Joint-approach.html
この図を見ると、隣り合う関節同士の役割が反対になっています。
これは、モビリティ能力がスタビリティ能力が高い関節が隣接することで、お互いの能力を補完しあっているともいえます。
例えば、
仙腸関節・腰椎はスタビリティ関節ですが、すぐ上の胸椎はモビリティ関節なんです。
胸椎の上の頸椎は、スタビリティ関節です。
この、Joint By Joint Theory(ジョイント・バイ・セオリー)の考え方は、臨床で身体の機能を考えるうえで役立ちます。
Joint By Joint Theory(ジョイント・バイ・セオリー)を用いた臨床での考え方
腰痛の方で考えてみましょう!
その腰痛の方は、腰椎の過剰な回旋の動きがあったとします。
腰椎の過剰な回旋の動きが原因で腰痛を発生しているとします。
なぜ腰椎が過剰に動いてしまっているのかということですね。
Joint By Joint Theory(ジョイント・バイ・セオリー)で考えてみましょう。
要因の1つとして「胸椎のモビリティが少ない」のではないか?
ということが考えられます。
本来動かなければいけない胸椎の動きを代償するように腰椎が過剰に動いている。
と考えられます。
腰椎のスタビリティ機能が低下している場合は、特に過剰に回旋する傾向があります。
解決するには・・・
「胸椎のモビリティを高めること」です。
「腰椎のスタビリティを高めること」です。
余談ですが、腰椎すべり症や腰椎分離症の方は、胸椎ではなく腰椎で回旋し過ぎてしまった結果と言われています。
スポーツでは、体幹部を捻る動きが多いです。
本来ならば胸椎で回旋すべきところ、腰椎で回旋し過ぎてしまうわけですね。
腰椎は、スタビリティ関節のため、回旋運動には耐えられません。
結果、腰椎が割れてしまって、腰椎すべり症や腰椎分離症になるわけですね。
モビリティファースト
スタビリティ関節のスタビリティが失われてモビリティ関節に問題が出るということは少なく感じます。
臨床上はモビリティ関節のモビリティが失われてスタビリティ関節に問題が出ることが多いと思います。
つまり、モビリティ関節が本来の動きを行えていないケースの方が多いということです。
グレイクック先生によると、「モビリティファースト」とのこと。
身体の身体運動には、モビリティ関節には、然るべきモビリティが必要であるということですね。
どこか痛い場所がある方は、隣接する関節などの動きをチェックしてみてはいかがでしょうか?