何らかの運動などをしている人で
「腰痛になったことがない」
と方は、ほとんどいないと思います。
この記事を読んでいる大半の方が、腰痛になったことがあるのではないでしょうか?
腰が痛くなり
- 腹筋と背筋のバランスが悪い?
- 腹筋が弱い?
- 背筋が弱い?
- 身体が硬いから?
- 姿勢が悪い?
なぜ腰痛は治らないんだろう?
と悩んだことはあるのではないでしょうか?
「反り腰が腰痛の原因です」
と言われたことがある方も多いのではないでしょうか?
未だに反り腰は諸悪の根元のように言われていますが・・・
反り腰と腰痛について解説します。
反り腰と腰痛が関連しているかは不明
慢性腰痛の場合、実際の姿勢異常より身体知覚異常が関与するという論文があります。
身体知覚異常だけでなく、心理社会的要因などの関与もあるというのは広く知られている話ですね。
姿勢異常と腰痛の関係というのは、よく言われていますが実際のところはよくわかっていません。
腰痛の方に反り腰の方が多いというのも、単に反り腰の方が多いとも言われます。
反り腰改善のエクササイズを行ったら腰痛が緩和したというのも聞いたことはないでしょうか?
運動による疼痛緩和(exercise-induced hypoalgesia:EIH)というメソッドがあり、反り腰は関係なく単にEIHが働いた可能性が高いということがわかってきています。
特にエクササイズ直後は筋活動が活発になるため、脱力しにくくなって反り腰が改善したようにみえる可能性もあり、反り腰が改善したら腰痛が緩和した!
となりがちです。
腰痛はいわゆる解剖学やバイオメカニクス的なことばかりフォーカスされがちですが、構造面よりも神経的な問題や身体知覚異常が関与が大きいということがわかってきています、
腰痛と関わりが深い椎間関節と多裂筋について
腰痛といえば、椎間関節、多裂筋と言われるくらいメジャーです。
理由は2つあります。
- 「椎間関節」と「多裂筋」は、「痛みに敏感で、痛みを感じやすい構造」になっています。
- 脊髄神経後枝内側枝が一度「防御反応」が発生させると、どんどん痛みに対して敏感になります。
脊髄神経後枝内側枝が一度「防御反応」が発生させると、どんどん痛みに対して敏感になります。
痛みに対して敏感になった状態こそが、いわゆる「慢性腰痛」です。
つまり、腰は痛みに対して敏感であり、ケアを怠ると、腰痛のループから抜け出せなくなるということですね。
もう少し詳しく説明します。
画像参照元 https://corelife-sports.com/blog/機能異常!~多裂筋~/
「椎間関節」
椎間関節とは、背骨1つ1つを構成する「椎体」のつなぎ目の関節部分を指します。
多裂筋
多裂筋の起始停止
- 仙骨背面
- 全腰椎の乳頭突起及び副突起、
- 第7~6頸椎の下関節突起を起始
斜側上方に向かって走行
停止部
- 軸椎以下のすべての椎骨の棘突起
作用は
- 体幹部の伸展・側屈
- わずかの回旋
- 腰椎前弯の保持
椎間関節の安定化
多裂筋は、脊柱のほぼ全て(頚椎の4番〜仙骨)まで付き、特に「腰部」で発達している筋肉です。
特に、下部の腰椎で発達していて、特に下部腰椎の痛みに関与しています。
作用として特に重要なのが
- 腰椎前弯の保持
椎間関節の安定化
の2つがあります。
長背筋のうち、斜胸の深層に位置する筋肉です。
多裂筋は3つに分けられます。
- 頸多裂筋
- 胸多裂筋
- 腰多裂筋
椎間関節と多裂筋の2つの特徴
- 「侵害受容器」の数が多い
- 「脊髄神経後枝内側枝」が支配している
ということです。
1 「侵害受容器」が多いと、どうなる?
「侵害受容器」=「痛みを感じるレセプター」
です。
椎間関節、多裂筋には「他の部位より多くの痛みを感じるレセプター」があるということです。
「他の部位よりも痛みを感じやすい」ということですね。
つまり「椎間関節」と「多裂筋」は、「痛みに敏感で、痛みを感じやすい構造」になっています。
「脊髄神経後枝内側枝の支配」だと、どうなる?
「椎間関節」と「多裂筋」は、同じ脊髄神経後枝内側枝が支配しています。
脊髄神経後枝内側枝は痛みを感じると「防御反応」を発生させます。
「防御反応」とは。多裂筋をガチガチに固めることです。
例えば「ギックリ腰」 は「痛くて動けない状態」になりますよね?
ギックリ腰は、椎間関節の炎症が起こっている例が多く「痛くて動けない状態」になります。
つまり、脊髄神経後枝内側枝が「動いたら痛いから動かないようにしてしまおう」と、多裂筋をガチガチに固める「防御反応」を起こします。
長年腰痛を抱えている方、ギックリ腰の経験がある方は「腰の筋肉がガチガチに固まる感覚」はわかると思います。
脊髄神経後枝内側枝が一度「防御反応」が発生させると、どんどん痛みに対して敏感になります。
痛みに対して敏感になった状態こそが、いわゆる「慢性腰痛」です。
「椎間関節」と「多裂筋」が原因で、「腰を反ると痛みが出る」理由
腰椎バイオメカニクスで重要なポイントは
- 椎体
- 椎間板
- 椎間関節
がうまく負担を逃していることです。
腰椎伸展位の場合、椎間関節の負担が大きくなります。
「腰椎伸展(腰を反る)ときに椎間関節の負担が増えることは、悪いことでも何でもありません。
腰椎伸展位の場合、椎間関節の負担が大きくなるのは、正常な負荷のかかり方です。
腰椎が中間位の場合
負荷が
- 椎体
- 椎間板
- 椎間関節
それぞれ全体的に分散します。
腰椎屈曲位の場合
椎間板の負荷が増えます。
腰椎伸展位の場合
椎間関節の負荷が増えます。
椎間関節の負担が大きくなると・・・
椎間関節に過度に負荷がかかると「腰を反ると痛い」に繋がります。
椎間関節に負荷がかかる理由として
- 腰椎の椎間板の動きが悪い
- 腰椎の椎間板の狭小化
- 多裂筋の筋緊張
が挙げられます。
椎間板狭小化により椎間関節の動きが悪くなります。
椎間関節の動きが悪くなると、腰椎の伸展時に負荷が増す「椎間関節」にさらに負担がかかります。
痛みを感じやすい「椎間関節」は、負荷が増えるとすぐに痛みとしての反応が出るということですね。
「多裂筋」について
先ほど、多裂筋の重要な作用は
- 腰椎前弯の保持
- 椎間関節の安定化
の2つがあると書きました。
ところが、
- 腰椎前弯の保持
- 椎間関節の安定化
は「腰痛」「多裂筋の筋緊張」があると簡単に崩れます。
腰椎は「生理的弯曲」といい、元々少し反っている形になっています。
多裂筋に筋緊張があると、「腰椎の前弯」を強め、いわゆる「反り腰(腰椎過前弯)」の状態になります。
多裂筋が硬くなり、「反り腰(腰椎過前弯)」になると、「椎間関節の安定化」どころではなく、「椎間関節に負担」をかけてしまいます。
一度腰が痛くなると、
ここまでをまとめると、
「脊髄神経後枝内側枝の防御反応で多裂筋の筋緊張強くなると、椎間関節の動きが悪くなり、椎間関節の負担が大きくなり、痛みが大きくなる」
と言われ、この辺りが反り腰が神格化され、腰痛の諸悪の根元とも言われて続けてきたのです。
まとめ
反り腰と腰痛の関係は不明です。
慢性腰痛の場合、実際の姿勢異常より身体知覚異常が関与するという論文があります。
身体知覚異常だけでなく、心理社会的要因などの関与もあるというのは広く知られている話ですね。
姿勢異常と腰痛の関係というのは、よく言われていますが実際のところはよくわかっていません。
腰痛の方に反り腰の方が多いというのも、単に反り腰の方が多いとも言われます。
反り腰改善のエクササイズを行ったら腰痛が緩和したというのも聞いたことはないでしょうか?
運動による疼痛緩和(exercise-induced hypoalgesia:EIH)というメソッドがあり、反り腰は関係なく単にEIHが働いた可能性が高いということがわかってきています。
特にエクササイズ直後は筋活動が活発になるため、脱力しにくくなって反り腰が改善したようにみえる可能性もあり、反り腰が改善したら腰痛が緩和した!
となりがちです。
腰痛はいわゆる解剖学やバイオメカニクス的なことばかりフォーカスされがちですが、構造面よりも神経的な問題や身体知覚異常が関与が大きいということがわかってきています、
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2014/0/2014_0425/_article/-char/ja/
https://researchonline.nd.edu.au/cgi/viewcontent.cgi?article=1163&context=physiotherapy_article