足首が硬いというのは、距腿関節に背屈制限があることを指します。
距腿関節に背屈とは、足首を手前側に、ぐっと曲げる動作です。
距腿関節に背屈制限があると
- しゃがんだ時、かかとが床につきません。
- しゃがんだ時、かかとが床につけようとすると、後ろに倒れそうになります。
ということが起きるようになります。
距腿関節とは、距骨と脛骨・腓骨の関節のことです。
足首が硬い(距腿関節背屈制限)について解説します!
距腿関節とは?
距腿関節を構成する関節
関節窩
- 脛骨下端の下関節面
- 脛骨下端の内果関節面
- 腓骨の外果関節面
になります。
関節頭
- 距骨滑車
距腿関節の靱帯
浅層の靱帯
- 内側(三角)靱帯
強い三角形の靱帯であり、(脛舟部・脛踵部・後脛距部)の3つに分かれる。
深層の靱帯
- 前距腓靱帯
- 後距腓靱帯
- 踵腓靱帯
4つがあわせて距腿関節の外側面における側副靱帯として働く。
距腿関節のバイオメカニクス
距腿関節の運動は、底屈・背屈のみを行う蝶番関節。
可動域は、底屈の方が背屈よりも大きい。
底屈と背屈を合計した角度は約90度。
距腿関節の関節頭も関節窩も、前方が幅広く後方に狭い構造。
距腿関節を底屈したときは、多少の足の内旋外施が可能。
足首が硬い(距腿関節背屈制限)を改善するためには?
距腿関節背屈とは、脛骨腓骨(凹)に距骨が(凸)が入り込む動きです。
距腿関節背屈時に制限が出る場合、(凹)の脛骨腓骨に(凸)距骨がうまくはまりこめないと考えられます。
実は距腿関節背屈時に脛骨腓骨の間は1~2mmほど広がります。
距腿関節背屈時に脛骨腓骨の間が約1~2mm広がる動きがなければ、距骨が入り込むスペースがありません。
なぜなら、距骨の距骨滑車は、前側が後の部分よりも5mmほど大きくなっています。
距腿関節背屈時には距骨滑車の大きい前方部分が奥に入る必要があります。
距腿関節背屈時に脛骨腓骨の間は1~2mmほど広がることができなければ、うまく距腿関節背屈できないということになります。
足首が硬い(距腿関節背屈制限)を改善するには、脛骨腓骨の可動域を向上することが大事ということになります!
また、距骨が脛腓間に正確に侵入することも大事です。
足関節捻挫などで、靱帯に緩みが起きると、距骨が脛骨腓骨に正確に侵入することができなくなります。
距骨が脛骨腓骨に正確に侵入することができないと、うまく距腿関節背屈できないということになります。
足首(距腿関節)の動きは思ったよりも複雑??
距腿関節には底屈、背屈という動きがあると書きました。
距腿関節の底屈、背屈は、単純に矢状面上での動きではありません。
距腿関節は、距骨が腓骨と脛骨の間を入ったり出たりしています。
角度
- 水平面上8〜14度
- 前額面上20〜30度
足首(距腿関節)の動きは曲率半径によって変化する?
曲率半径が大きいほどカーブは緩くなります。
曲率半径が小さいほどカーブは急となります。
距腿関節は、距骨が腓骨と脛骨の間を入ったり出たりするのがメインです。
距骨の距骨滑車に曲率半径が用いられ、曲率半径の円をなぞるように動きます。
距腿関節底屈背屈時に、外側の曲率半径の円は変わりませんが、内側の曲率半径の円の大きさが変わります。
内側の底屈時の曲率半径の円が最も大きく、一番小さいのは、内側の背屈時の曲率半径の円です。
曲率半径が小さい場合と大きい場合では、距骨の動きが変わります。
そのため、距腿関節の底屈時と背屈時の運動軸が変わるわけですね。
曲率半径の円の外側は一定ですが、円の内側は変わります。
- 背屈時は本来の運動軸で動きます。
- 底屈時は水平面上の運動軸が変わります。
このことから、距腿関節底屈時に足は内反せずに、まっすぐに底屈することが可能になります。
距腿関節が底屈時に内反を伴うことは、足関節内反捻挫のリスクが上がるということです。
参考論文
file:///Users/hiroshikawasaki/Downloads/32206A190.pdf
まとめ
距腿関節背屈時には距骨滑車の大きい前方部分が奥に入る必要があります。
距腿関節背屈時に脛骨腓骨の間は1~2mmほど広がることができなければ、うまく距腿関節背屈できないということになります。
足首が硬い(距腿関節背屈制限)を改善するには、脛骨腓骨の可動域を向上することが大事ということになります!
また、距骨が脛腓間に正確に侵入することも大事です!
おまけ 足関節内反捻挫の影響
足首の捻挫を起こすと、靱帯の損傷が発生します。
足関節内反捻挫で、最も損傷する確率の高い靱帯は、です。
- 前距腓靱帯の損傷確率93%
- 踵腓靱帯の損傷確率80%
なぜなら、前距腓靱帯は、距骨が内前方に行かないようにストッパーの役目を果たしています。
非常にうまくできていて、距骨には9つの靱帯があり、それぞれのテンションが保たれることで距骨の正しい位置が定められています。
1つの靱帯が切れてしまうことで、他の8つの靱帯に大きく影響します。
距腿関節の動きに影響するわけですね。
距腿関節底屈時に距骨が過度の回外を伴うと、背屈時にも距骨が正しい動きを行うことは難しくなります。
踵腓靱帯まで損傷した場合にはさらに大変です。。。
足関節内反捻挫は受傷率が高い割に、軽視されがちです。
足関節内反捻挫をした場合には、専門家にみてもらいましょう!
距骨に付着する靭帯
画像引用元 http://www.fff.or.jp/seikei/sportsmedical_center/ankle01.html
距骨に付着する靭帯
前側
- 距舟靭帯
- 前距踵靭帯
後側
後距踵靭帯
内側
- 前脛距靭帯
- 後脛距靭帯
- 内側距踵靭帯
外側
- 前距腓靭帯
- 後距腓靭帯
- 外側距踵靭帯