O脚は、くるぶしをくっつけて立った際に、左右の膝がくっつかない状態です。
解剖学的にO脚の定義があると言うことは、意外と知られていません。
解剖学的にO脚のことが理解できれば、膝を縛ったり、膝を横から圧迫するようなことを行なっても、O脚が改善されることは少ないということが理解できると思います。
この記事の目的は、改善が期待できるO脚と、改善が期待できないO脚を知ることです。
O脚をみる際に大切なポイントは、機能的なO脚なのか、構造的なO脚なのかです。
改善が期待できないO脚は、構造的なO脚です。
改善が期待できるO脚は、機能的なO脚です。
改善が期待できない構造的なO脚とは、解剖学的な3つの定義に該当するケースです。
O脚の解剖学的な定義について説明します。
O脚の解剖学的な定義 3つ!
これから説明する3つの定義に該当するO脚の方は、徒手療法などでの改善は難しいと言えます。
この3つの定義に該当する方というのは、高齢で関節や骨の変形が進んでいる方です。
ほとんどの方は、改善が期待できます。
構造的には改善しなくても、機能を回復させることは可能です。
その1 FTAの減少と増大
- 内反膝は、O脚とも呼ばれます。
- 内反膝(O脚)とは、FTAが180度以上の場合のことです。
- 外反膝は、X脚と呼ばれます。
- 外反膝(X脚)とは、FTAが170度以下の場合のことです。
FTAの正常角度は、176度前後。
*FTAは、レントゲンでしか判断できません
その2 ミクリッツ線
ミクリッツ線とは、日本語でいうと、「下肢荷重線」「下肢機能線」と言います。
ミクリッツ線とは、一言で言うと「大腿骨頭の中心」と「足関節の中心」を結んだ線のことです。
正常な膝であれば、膝関節中心(脛骨の内側顆間隆起内側)を通ります。
- ミクリッツ線が膝の内側を通る場合 O脚
- ミクリッツ線が膝の内側を通る場合 X脚
- ミクリッツ線が膝の中心を通る場合 正常
画像引用元
https://pt-matsu.com/mikulicz-line/
*ミクリッツ線は、レントゲンでしか判断できません
その3 Qアングルの減少と増大
Q-Angleは、体表からのチェックが可能です。
QーAngleとは大腿四頭筋腱角のことです。
QーAngleは、上前腸骨棘(ASIS)から、膝蓋骨中心へ引いた線と、膝蓋骨中心から、脛骨粗面に引いた線が構成される角度になります。
大腿四頭筋が膝蓋骨を引っ張る方向を、QーAngleで知ることができます。
QーAngleによって、膝関節のアライメントをみることもできますが、大腿四頭筋の力のベクトルを推測することで、膝蓋骨の安定性をみることができます。
Q-angleの正常角度は、男性は約10度。
Q-angleの正常角度は、女性は約15度です。
- O脚変化=Q角減少
- X脚変化=Q角増大
です。
改善が期待できるO脚と改善が期待できないO脚
O脚をみる際に大切なポイントは、機能的なO脚なのか、構造的なO脚なのかです。
改善が期待できないO脚・X脚
改善が期待できないO脚は、構造的なO脚です。
構造的なO脚とは、先ほど挙げた3つの指標であるFTA、ミクリッツ線、Qアングルいずれも該当するケースです。
構造的なO脚の場合、徒手療法で多少は改善するかもしれませんが、患者さんが期待する結果を出すことは難しいでしょう。
構造的なO脚の場合、先天的な骨格に由来するものだと思われます。
改善が期待できるO脚・X脚
改善が期待できるO脚は、機能的なO脚です。
O脚とは、機能的にみると下腿内弯 下腿が内捻・外捻、下腿外旋か内旋、下腿外方偏位です
先ほど挙げた3つの指標であるFTA、ミクリッツ線、Qアングルいずれも該当しないO脚の場合、構造的なO脚ではないということです。
機能的なO脚は改善は期待できます。
O脚矯正をやっても意味がない?
ここまでこの記事を読むと、「O脚矯正を行なっても意味がないのかな?」と思われた方もいるかもしれません。
構造的にはO脚でも、機能的にO脚でなければ、身体の不調は出ていないはずです。
構造的なO脚だけの場合、O脚矯正を行う必要性は少ないです。
構造的にはO脚で、機能的にもO脚の場合は、腰痛などの身体の不調が出ていることが多いと思います。・
構造的にはO脚で、機能的にもO脚の場合は、O脚矯正を行う必要性は高いです。
構造的なO脚は改善は期待できませんが、機能的なO脚の改善は期待できます。
機能的なO脚が改善すれば、腰痛などの身体の不調の改善が期待できます。
ここまでをまとめますと、徒手療法や運動療法でO脚の機能面に関しては、改善が期待できます。
O脚の機能面が改善すれば、身体の不調に改善が期待できるのと、構造的なO脚も多少は改善が期待できます。
「どんなO脚も絶対に治ります!」ということはありません。
「改善するもの」と「改善しないもの」とちゃんと線引きしてくれるところで、O脚矯正を受けることができると良いでしょう。
O脚・X脚の発生機序(改善する場合のケース)
骨盤の前傾
⇅
大腿骨の内旋
⇅
下腿の内旋か外旋
⇅
足首の過剰回内(回内足・扁平足)
O脚の場合、「足首が先か?」「骨盤が先か?」と議論になることがあります。
現時点では、答えが明確になっていません。
骨盤から起因することもあれば、足首に起因することも、あるということです。
足首や骨盤など、どこから原因が始まったかというよりも、同時に発生しているというのが正しいのかもしれません。
FTAについて補足説明
FTAとは、Femoro Tibial Angleのことです。
Femoro Tibial Angleとは、大腿骨と脛骨の角度です。
つまり、FTAとは大腿骨長軸と脛骨長軸の交点のなす角度です。
FTAは、通常は大腿骨体と脛骨の中央をとるため、X線などの画像から判断します。
FTAの正常角度は、176度前後です。
FTAをみることで、内反膝、外反膝などの膝関節のアライメントを知ることができます。
FTAと頸体角
FTAの正常角度は176度です。
FTAが176度になる場合、大腿骨の「頚体角」が、125度の場合です。
頚体角とは、大腿骨の骨頸部と骨体のなす角度のことです。
頚体角が、125度の場合が正常な頚体角となります。
FTAは大腿骨頚体角に左右されます。
内反股
頚体角が、125度より明らかに小さい場合(110度以下)を内反股と言います。
内反股の場合は、寛骨臼との適合性を得るために股関節内転位を取りやすく、膝関節の内側を荷重線が通る為に外反膝になりやすくなります。
外反膝は、X脚と呼ばれます。
外反膝(X脚)とは、FTAが170度以下の場合のことです。
外反股
頚体角が、125度より明らかに大きい場合(135度以上)は「外反股」と言います。
外反股の場合には、寛骨臼との適合性を得るために股関節外転位を取りやすく、膝関節の内側を荷重線が通る為に内反膝を呈しやすくなります。
内反膝は、O脚とも呼ばれます。
内反膝(O脚)とは、FTAが180度以上の場合のことです。
まとめ
O脚をみる際に大切なポイントは、機能的なO脚なのか、構造的なO脚なのかです。
改善が期待できないO脚は、構造的なO脚です。
構造的なO脚の場合、先天的な骨格に由来するものだと思われます。
改善が期待できるO脚は、機能的なO脚です。
機能的なO脚が改善すれば、腰痛などの身体の不調の改善が期待できます。
「どんなO脚も絶対に治ります!」ということはありません。
どんなに頑張っても改善しない構造的なO脚もあると理解していれば、無駄に時間とお金を費やすことがなくなるはずです。
「改善するもの」と「改善しないもの」とちゃんと線引きしてくれる治療院で、O脚矯正を受けることができると良いでしょう。
この3つの定義に該当する方というのは、高齢で関節や骨の変形が進んでいる方です。
ほとんどの方は、改善が期待できます。