腰痛

いつも右側ばかり腰が痛くなるのはなぜ???

腰が痛いと一言で言っても、痛みが出る場所は様々です。

  • 真ん中が痛くなる方
  • なんとなく腰全体が痛くなる方
  • 右側ばかり痛くなる方
  • 左側ばかり痛くなる方

その中でも意外と多いのが右腰が痛くなるというもの。

特に、スポーツをやっている方に多いのではないでしょうか?

育児中の方も多いですね。

右腰が痛くなるメカニズムを解剖学的に解説します。

右側ばかり痛くなるのは外腹斜筋が問題?

右側ばかり腰が痛くなる方の身体をチェックすると、腰部や骨盤帯にかなりの左右差が発生しています。

骨盤帯の左右差も、仙腸関節や恥骨だけでなく、スカルパ三角にもかなりの左右差が発生しています。

スカルパ三角の左右のギャップが大きくなりすぎると、腰部や骨盤帯のバイオメカニクスに大きく影響します。

スカルパ三角に大きな影響を与える筋肉こそが、外腹斜筋なのです。

鼠径靭帯は「上前腸骨棘と恥骨結合」を繋いでいる靭帯です。

また、外腹斜筋の停止部でもあります。

ということは、鼠蹊靭帯と外腹斜筋は、深い関係があるということです。

 外腹斜筋の作用は

  • 体幹の屈曲
  • 体幹の反対側への屈曲、回旋

簡単にいうと外腹斜筋は

  • スポーツなどで体幹部をひねる動き
  • 体幹部をひねる腹筋のトレーニング

ということです。

スポーツなどで、どうしても片方ばかり体幹部をひねる動作が多くなります。

ゴルフ、野球、テニス、卓球、などなど。

スポーツやトレーニングを続け、外腹斜筋を含めた身体のケアを怠ると、外腹斜筋の働きが悪くなってきます。

外腹斜筋の働きが悪くなると、停止腱の部分で結合する「鼠径靭帯」に影響が出て、スカルパ三角に左右差が発生します。

また、スポーツなどで、どうしても片方ばかり体幹部をひねる動作が多くなるということは、外腹斜筋に左右の筋力差が生まれることもあります。

外腹斜筋に左右の筋力差が生まれるということは、スカルパ三角に左右差が発生するということを示しています。

これまでをまとめますと

身体のケアを怠り外腹斜の動きが悪くなる、または外腹斜筋に左右の筋力差が生まれる。

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スカルパ三角に左右差が発生する。

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腰部や骨盤帯のバイオメカニクスに影響する

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右の腰ばかり痛くなる

という流れになります。

スカルパ三角について

スカルパ三角とは、鼠径靭帯、縫工筋、長内転筋の3つで構成される三角形のことです。

スカルパ三角には

  • 大腿動脈
  • 大腿静脈
  • 大腿神経

がスカルパ三角の中心付近を通っています。

「縫工筋」について

縫工筋は、上前腸骨棘〜脛骨粗面に付着する2関節をまたぐ長い筋肉です。

縫工筋の作用

  • 股関節の屈曲、外転、外旋
  • 膝関節の屈曲
  • 下腿の内旋

簡単に書くと「あぐらをかく動き」が縫工筋の作用です。

縫工筋の重要な作用として、縫工筋は膝の内側の安定性を高める「鵞足」を構成します。

鵞足に炎症が起きることを鵞足炎といいます。

鵞足炎は、薄筋、半腱様筋、縫工筋の付着部に起きる炎症のことです。

発生原因は、

  • Knee in – Toe out
  • O脚・X脚
  • オーバーユース
  • 足首の不良
  • 脛骨・腓骨の不良

が挙げられます。

縫工筋は、Knee in – Toe outの動きを制御する働きがあります。

Knee in – Toe outのクセがあるまま、スポーツやトレーニング、ジョギングやマラソンなどを行っていると、縫工筋に大きな負担がかかります。

縫工筋に大きな負担がかかることで、スカルパ三角に影響を及ぼし、片方ばかり腰が痛くなる原因になることもあります。

長内転筋について

長内転筋は、股関節の内転、屈曲、外旋を行います。

恥骨上枝から始まり、大腿骨の粗線内側唇の中1/3で停止します。

長内転筋は、主に股関節を内転させる動作(足を内側に寄せる動き)に関わっています。

長内転筋を含む内転筋群は足を内側に寄せる動作に強い影響を及ぼしており、中でも長内転筋の貢献度は高めです。

また、足を組む動作なんかも長内転筋が関わっています。

ということは、足を組むのをやめれば、スカルパ三角も改善して、腰の痛みも緩和する?

と思われたかもしれません。

実はこれは逆でして、スカルパ三角に左右差が生まれているため、長内転筋が強く働き、足を組みたくなっちゃうのです。

すぐに足を組みたくなってしまうということは、スカルパ三角に左右差が大きくなっているのかもしれません。

鼠径靭帯について

鼠径靭帯は腸骨の上前腸骨棘から恥骨の恥骨結節へ達します。

また、外腹斜筋腱膜からなり、大腿の筋膜に続いています。

鼠径靭帯は柔らかな組織からなっています。

体幹から下肢にかけての前面を通り、大腿三角の上縁をなします。

鼠径靭帯の中央部、すなわち上前腸骨棘から恥骨結節にかけての途中で、大腿神経が現れます。

鼠径靭帯とは、外腹斜筋の停止腱膜が発達したものです。

外腹斜筋について

外腹斜筋は、腹部の筋肉のうちで腹壁外側部を走る側腹筋の一つです

起始 第5~第12肋骨外側面から斜め前下方に走り、

停止 腸骨稜および鼠径靱帯、白線 (en:Linea alba (abdomen)) に付着します。

体幹の前屈、側屈、反対側回旋、胸郭引き上げ、腹腔内圧拡大、などの働きがあります。

腰椎自体には、直接付着していませんが、肋骨や背骨の動きには関わりがあります。

「右側ばかり腰が痛くなる」を改善するための考え方

  • 鼠蹊靭帯へのアプローチ
  • 縫工筋へのアプローチ
  • 長内転筋へのアプローチ

なのですが・・・

縫工筋と外腹斜筋、長内転筋の機能を改善することで、スカルパ三角の左右差を軽減し、腰の痛みを緩和することができるのですが・・・

ところが、注意していただきたいのが、安易にストレッチや、筋肉をほぐせば良いというわけではありません。

場合によっては悪化することもあります。

理由があって、鼠蹊靭帯や縫工筋や長内転筋が機能低下しているわけですから、単に結果にだけアプローチすることは危険です。

特に鼠蹊靭帯は、恥骨や腸骨の動きに大きく関わります。

恥骨や腸骨や、股関節や背骨とも関係が深く、全身とも連動しています。

また、縫工筋や長内転筋も同様に、Knee in – Toe outを制御する機能があります。

ということは、縫工筋や長内転筋は回内足、足首の動き、脛骨・腓骨の動き、膝関節の動き、股関節、腸骨の動きに関わります。

単に縫工筋、長内転筋と鼠蹊靭帯にだけアプローチしても、またすぐに再発します。

全身の関節や筋肉の状態を考慮し、アプローチを組み立てていく必要があるでしょう。

まとめ

身体のケアを怠り外腹斜の動きが悪くなる、または外腹斜筋に左右の筋力差が生まれる。

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スカルパ三角に左右差が発生する。

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腰部や骨盤帯のバイオメカニクスに影響する

↓↓↓↓↓

右の腰ばかり痛くなる

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川崎浩司

「ながさき整骨院」代表  川崎浩司

厚生労働大臣免許 柔道整復師

2012年開業 目立つ看板を出さずひっそりと口コミ中心のスタイルで運営中。

人見知りで人前で喋ったり、目立つことが苦手なのに、うっかり(株)医療情報研究所から2018年に全国の徒手療法家向けのDVDを出版

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