という名前を聞いたことがありますか?
腰痛や肩こりと違って、あまり馴染みが無い名前かもしれません。
「立ったり歩いたりすると足首の奥の方が痛いような気がするけど、具体的にどうすると、足首のどこの部分が痛いのかはっきりわからない」
というのが、足根洞症候群の特徴です。
レントゲンなどで検査をしても、「骨に異常はありません」と言われてしまうことが多いです。
異常はないはずなのに、
- 「なんか足に違和感がある」
- 「なんか足が痛い」
- 「足に不安定感がある」
- 「足の捻挫を繰り返している」
といった事を繰り返していれば、足根洞症候群の可能性が高いです。
足根洞とは外側のくるぶしの、前側にあるへこみの奥の部分です。
足根洞に炎症が生じると歩いたり、体重がかかると痛みが出ます。
はじめのうちは、歩くと軽い痛みや、違和感程度なのですが、次第に悪化していくと、歩くことが自体が苦痛になるくらい、痛みが強くなることもあります。
画像参照元 http://kotoseikeigeka.life.coocan.jp/10sokkonndou.html
足根洞症候群がなぜ起こるのか?
足根洞症候群の原因の約8割は、足首の捻挫などの怪我の後に、起きることが多いです。
足根洞の近くには足首の関節の重要な靭帯が多数あります。
例えば、足首の関節を捻挫すると、足首の外側のくるぶしの下にある前距腓靱帯という靭帯が損傷したり、断裂することがあります。
この前距腓靭帯という靭帯がダメージを受けることにより、同時に足根洞の周辺のいろいろな足首の靱帯がダメージを受けます。
靭帯がダメージを受けることにより、足根洞内に出血します。
これが瘢痕組織や線維組織に変わり滑膜炎や浮腫を起こします。
これが、足首の痛みや違和感の発生原因になるのです。
なぜ、捻挫をしやすくなるのか?
また、繰り返し捻挫をしていると、この足根洞周辺に慢性的なストレスがかかります。
慢性的なストレスから、炎症が続くことがあります。
炎症が続くと、神経終末の機能が損なわれてしまいます。
そうすると、本来持っている足から伝わる感覚が鈍くなってしまいます。
足のバランスというのは、微妙なバランス感覚を「足根洞」にある神経終末でとらえています。
足首の関節が、適切なバランスを保てるように、長腓骨筋や短腓骨筋などに、脳の指令が届くようになっています。
また、本来は足首を捻って捻挫しそうになっても、反射によって足首を正常な位置に戻すように筋肉が反応します。
こういう無意識のとっさの判断を行うためには「足根洞」から足首の筋肉にすぐに指令が行かなければなりません。
足首の神経終末が捻挫などのケガで、ダメージを受けている場合、この命令がうまく伝わらなくなります。
結果として、捻挫を繰り返す結果となったり、ちょっとした路肩の角で足をひねったりすることになります。
また究極の場合には、足の筋肉が緊張しっぱなしになることもあります。
腓骨筋痙性扁平足
また、捻挫をした後に、上記に挙げたことが原因で、捻挫した側の足だけ扁平足になってしまうことがあります。
これも、臨床をやっていてよく見られる疾患ですね。
どうすれば足根洞症候群がよくなるのか?
非常に治りづらい症状です。
足は非常に繊細で敏感で感覚が鋭い部位です。
いわゆるバイオメカニクス的なことだけやれば改善するわけではないということです。
感覚を変えること
足根洞症候群に限らず足の痛み全般に言えることですが、足の痛みの大半は組織の損傷と無関係に起こる感覚性の痛みが大半だとされています。
丸印がある部分が足の裏の感覚を感じる神経が集中している場所です。
感覚受容器、侵害受容器、自由神経終末、神経、中枢神経などがバグのようなものを起こし、痛みが出ていることが多いのです。
痛みを改善するにはとにかく様々な刺激を入れて感覚を変えることが最も重要です。
バイオメカニクス・構造面にフォーカスすることも大事ですが、感覚を変えることも大事です。