膝蓋骨は、膝のお皿の骨のです。
別名パテラとも言われます。
膝蓋骨は、膝関節を構成している骨の1つです。
また膝蓋骨は、人体最大の種子骨です。
「種子骨」は、植物の種子に形が似ていることから、種子骨と呼ばれています。
この記事では、膝蓋骨について解説します!
膝蓋骨の解剖学
膝蓋骨は大腿四頭筋腱に付着しています。
膝蓋骨に付着する筋肉
- 中間広筋 膝蓋骨底に付着
- 外側広筋腱 膝蓋骨の外側縁に付着
- 内側広筋腱 膝蓋骨の内側縁に付着
膝蓋骨が構成する関節
- 大腿膝蓋関節
膝蓋骨のバイオメカニクス
膝蓋骨は、人体最大の種子骨です。
そんな種子骨の役割は、「滑車」としての機能があります。
「滑車」は「てこ」の役目があります。
「てこ」は、筋肉の方向を変換し、筋肉が最大限に力を発揮できるようになっています。
膝蓋骨の場合は、大腿四頭筋の滑車です。
大腿四頭筋は人体最強の筋肉と言われる筋肉。
膝蓋骨も、人体最強の一役買っているわけですね。
前回のオスグッド・シュラッター病もこの筋肉が関わっていました。
もしも大腿四頭筋から膝蓋骨がなくなったとしたら、どうなるでしょうか?
約25%は大腿四頭筋の出力が落ちると言われています。
大腿膝蓋関節のバイオメカニクス
膝を曲げ伸ばしをする際に、膝のお皿は上下にシンプルに動いているわけではありません。
膝関節の関節面が非常に複雑な構造をしています。
そのため、膝のお皿は膝を曲げ伸ばしの際に、複雑な動き方をします。
また、太ももの筋肉である大腿四頭筋の引っ張りにより、うまく膝のお皿が滑らかに動くように調整されています。
この膝のお皿の動きがずれてうまく動かないことをトラッキングといいます。
膝が痛い方は、膝のお皿のトラッキングが起こっているケースが多く報告されています。
膝のお皿のトラッキングが改善すると、膝の痛みが改善する方もいます。
ところが、膝のお皿のトラッキングの問題が解決しても、膝の痛みという問題が必ず改善するわけではありません。
膝の痛みというのは、思われているより複雑です。
膝の関節の構造や動きも複雑です。
膝蓋骨と大腿骨との接触面積や圧力
膝蓋大腿関節をもう少し詳しく書きます。
膝蓋骨と大腿骨との接触面積や圧力のことです。
膝屈曲角度 135度
膝蓋骨は上極部付近で大腿骨に接します。
135度のこの位置では、大腿骨の顆間溝の下方に位置します。
膝屈曲角度 90度
膝関節90度位に伸展していくと、膝蓋骨の接触領域は下方へ移動します。
膝屈曲角度 60〜90度
屈曲60~90度で膝蓋骨の接触面積は、最大になります。
屈曲60~90度ですら、膝蓋骨の全関節表面積の30%程度しか接触しません。
意外と狭いものですね。
膝屈曲角度 20度
20度屈曲位までの間、膝蓋骨上の接触面は下極に移動します。
膝伸展時
膝関節が完全に伸展した状態では、膝蓋骨は大腿骨の顆間溝から完全に浮きます。
この時、膝蓋骨は上膝蓋脂肪体と接触しています。
膝伸展時に、脱力すると、膝蓋骨が0~20度くらいグラグラ動きます。
これは、大腿骨顆間溝に接触してないからこそ、起きる動きです、
膝蓋骨は単位面積当たりの圧迫力が高い!
単位面積当たりの圧迫力は、膝蓋大腿関節内では非常に高まります。
膝蓋大腿関節の接触面積が狭い分、圧が集中します。
ということは、膝蓋骨結構な力で関節に押し付けられているわけです。
膝蓋骨の関節軟骨が摩耗して変形すると、痛いでしょうね。
つまり、膝蓋骨が安定していられるのは2つ理由があります。
- 大腿骨顆間溝に収まっていること。
- 大腿四頭筋と周囲の組織の緊張による。
膝蓋骨は外方変位しやすい?
膝蓋骨は大腿四頭筋の力によって、上方、外方へ牽引されやすいです。
これを表すものが、Q-Angleです。
Q-Angleが大きくなればなるほど、パテラは外方への動きを強めることになります。
よって、パテラが外方変位する要因のうち、Q-Angleの増大はまさにその一つとなります。
そこで、Q-Angleが大きくなる要因をみていきます。
構造的なアライメント要因
- 大腿骨前捻角の増大
- 大腿骨頚体角の増大
機能的なアライメント要因
- 股関節内転内旋
- 脛骨外旋、外方変位
- 回内足
筋、軟部組織の要因
- 腸脛靱帯と外側広筋の過緊張
- 内側広筋斜頭の筋力低下
- 外側膝蓋支帯繊維の緊張
- 内側膝蓋支帯繊維の緩み