膝関節は、大腿骨と脛骨と膝蓋骨から構成される関節です。
機能的には蝶番関節に近く、構造的には顆状関節に分類されます。
膝関節の関節半月は線維軟骨で構成されています。
膝関節は、知っているようで意外と知られていない関節です。
この記事では、そんな膝関節について解説します!
膝関節の解剖学
膝関節を構成する骨
- 大腿骨
- 脛骨
- 膝蓋骨
膝関節は、大腿骨、脛骨、膝蓋骨の3つの骨で構成されています。
- 大腿骨とは、人体最大の長管骨です。
- 脛骨とは、下腿の右側の太い方の骨です。
- 膝蓋骨は、膝のお皿の骨です(人体最大の種子骨)
膝関節に付着する筋肉
- 膝蓋靱帯
- 内側膝蓋支帯
- 外側膝蓋支帯
- 大腿直筋
- 外側広筋
- 中間広筋
- 内側広筋
- 腓腹筋
- 膝窩筋
- 足底筋(10%の割合で存在しない)
膝関節に付着する靱帯
- 前半月大腿靱帯
- 後半月大腿靱帯
- 膝横靱帯
- 前十字靱帯
- 後十字靱帯
- 膝蓋下滑膜ヒダ
- 外側半月
- 内側半月
- 外側側副靱帯
- 内側側副靱帯
- 斜膝窩靱帯
- 弓状膝窩靱帯
膝関節を構成する関節
- 大腿脛骨関節 大腿骨と脛骨
- 大腿膝蓋関節 大腿骨と膝蓋骨
膝関節は、大腿膝蓋関節、大腿脛骨関節にから構成され、骨広い意味での膝関節と言います。
大腿膝蓋関節、大腿脛骨関節が絶妙に動くことで、膝がなめらかに曲げたり伸ばしたりすることができます。
膝関節のバイオメカニクス
大腿脛骨関節のバイオメカニクス
- 屈曲・伸展 (伸展が0度 屈曲が140度)
- 内旋・外旋 (屈曲90度の位置で 内旋10~15度 外旋20~30度 )1:2の比率
大腿脛骨関節は、膝を曲げたり伸ばしたりする以外に、内旋・外旋という動きもあります。
内旋外旋の可動域は、膝の屈曲可動域によって異なります。
膝伸展時ではロックされていますから、水平面での動きはありません。
膝関節の運動面は、矢状面と水平面の2面あります。
矢状面は屈曲と伸展。
水平面は内旋と外旋です。
矢状面と水平面で、膝関節の動きは起こります。
スクリューホームムーブメント
膝関節が、最終伸展時に脛骨は大腿骨に対して、5~15°程度の外旋運動を起こし、膝関節が最も安定した肢位に導かれます。
膝関節最終伸展時(ねじ込み運動)に、大腿骨を固定する場合脛骨は外旋し、脛骨を固定した場合大腿骨が内旋する。
ということです。
伸張されていく靭帯や関節内での骨性適合増大によって、膝を伸展すればするほど回旋はなくなるというわけですね。
また、前十字靭帯(ACL)損傷の受傷機転は、脛骨過度外旋です。
プレー時に脛骨内旋が起きて前十字靭帯(ACL)損傷をするというのは、あまり聞きません。
下腿が常時外旋位になっており、スクリューホームムーブメントができなくなっている場合だと、内旋はほとんどいきません
大腿膝蓋関節のバイオメカニクス
膝を曲げ伸ばしをする際に、膝のお皿は上下にシンプルに動いているわけではありません。
膝関節の関節面が非常に複雑な構造をしています。
そのため、膝のお皿は膝を曲げ伸ばしの際に、複雑な動き方をします。
また、太ももの筋肉である大腿四頭筋の引っ張りにより、うまく膝のお皿が滑らかに動くように調整されています。
この膝のお皿の動きがずれてうまく動かないことをトラッキングといいます。
膝が痛い方は、膝のお皿のトラッキングが起こっているケースが多く報告されています。
膝のお皿のトラッキングが改善すると、膝の痛みが改善する方もいます。
ところが、膝のお皿のトラッキングの問題が解決しても、膝の痛みという問題が必ず改善するわけではありません。
膝の痛みというのは、思われているより複雑です。
膝の関節の構造や動きも複雑です。
膝蓋大腿痛症候群(PFPS)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3102962/
膝関節はスタビリティ重視
膝関節の機能は、スタビリティ関節です。
膝は足関節(距腿関節)と股関節とを繋ぐ「接続関節」です。
足関節(距腿関節)と股関節の影響を大きく受けます。
スポーツ活動や日常生活で、膝関節が単体で動く事はほぼほぼありません。
- 歩く
- しゃがむ
- 座る
- 立つ
- 走る
- ジャンプ
どれも股関節、膝関節、足関節が連動しています。
つまり、股関節、膝関節、足関節のどれかが機能が低下した場合には、他の関節にしわ寄せが行くというわけですね。
ちなみに
- 距腿関節はモビリティ関節
- 股関節もモビリティ関節
膝関節のスタビリティ機能も重要です。
膝窩筋(膝関節のロックを外してくれる筋肉)
- 膝窩筋の起始 大腿骨外側顆
- 膝窩筋の停止 脛骨後面
膝窩筋は膝の関節包内に付着する唯一の筋肉です。
膝窩筋は、外側半月板の後角にも付着しています。
膝窩筋の作用は、膝関節の内旋・屈曲です。
膝窩筋の内旋筋としての働きが膝関節の鍵として重要な働きをします。
ロックされている膝関節が屈曲し始めるとき、膝窩筋が働くことでロックが解除されます。
膝窩筋が作用することで、膝関節に内旋と屈曲が生じ、外旋・伸展でロックされていた膝が曲がり始めます。
膝窩筋は、内旋・屈曲中に、外側半月板を後方に牽引し安定させる働きもあります。
変形性膝関節症などで、膝関節を屈曲し始める際に、膝に痛みが出ることがあります。
これは、膝窩筋の機能不全を起こしていることが多々あります。
あまり、話題にのぼる筋ではないですが、膝にとって非常に重要な膝窩筋です。
正座をするのに必要な膝関節の屈曲可動域は何度?
答えは、160度です。
正常可動域は、140度です。
ということは、正座をするということは、膝関節の参考可動域をはるかに超えています。
「正座をすると膝が痛い・・・」
という中高年の方は多いですが、ある意味当たり前の事とも言えます。