腓骨という骨をご存知でしょうか?
ふくらはぎの外側にある骨です。
この記事では腓骨について解説します!
腓骨の解剖学
腓骨から起始する筋肉
- ヒラメ筋(腓骨頭、腓骨幹上部)
- 長腓骨筋(腓骨上部の外側面、腓骨頭)
- 短腓骨筋(腓骨上部の外側面)
- 第三腓骨筋(腓骨下部の前面)
- 長趾伸筋(腓骨前縁上方)
- 長母趾伸筋(腓骨)
- 後脛骨筋(腓骨後面)
- 長母趾屈筋(腓骨後面下部)
腓骨に停止する筋肉
- 大腿二頭筋(腓骨頭)
腓骨が構成する関節
脛骨と腓骨の真ん中の隙間は、下腿骨間膜(かたいこっかんまく)という強靭な膜が張っていて、脛骨と腓骨をつなぎとめています。
腓骨のバイオメカニクス
腓骨の役割は脛骨の添え木です。
実は腓骨自体は、膝関節とは直接的には関わっていません。
腓骨は関節的に膝関節を助けています。
膝関節とは直接的に関わっていませんから、荷重を受けない骨であると言えます。
添え木のように、腓骨は脛骨を外側からしっかりと支えているのです。
いわば、腓骨は脛骨のサポートをしています。
腓骨はなくても大きな問題はない?
腓骨は、膝関節にも直接的には関わらず、荷重の10%程度しか支えていません。
腓骨は、取り去っても大きな影響がない骨です。
複雑骨折や関節炎で骨を切断して短くなった場合に、骨移植という方法があります。
腓骨から骨移植することが多いのです。
スペア代わりに使われている少々気の毒な骨ですね。
では、腓骨はなぜこのような状態になったのでしょうか。
腓骨は進化した骨?
骨は、断面の形が円形に近いほど強度が増します。
骨は複数に分かれているよりも1本のほうが良いです。
脛骨、腓骨の2本だと力の伝達が分散してしまうわけですね。
そのため、腓骨は膝関節から外れてほとんど荷重がかからなくなってしまったのです。
腓骨が細くなった代わりに、脛骨はますます太くなっていきます。
現在の人間は、腓骨が荷重をほとんど支えることはなくなったのです。
実は、馬は腓骨がとても小さくなっています。
馬は、だだっ広い草原をより早く走るため、骨を一本化したと言われています。
馬とは反対に、ライオンやオランウータンは、複雑な地形を動くために、腓骨が発達しています。
動物の運動様式によって、骨も進化しているというわけです。
近位脛腓関節と遠位脛腓関節
脛骨と腓骨は関節で結ばれています。
身体の中心に近いほうが、近位脛腓関節。
身体の中心から遠い方が、遠位脛腓関節です。
脛骨と腓骨の真ん中の隙間は、下腿骨間膜という強靭な膜で脛骨と腓骨を繋いでいます。
距腿関節(腓骨下端と脛骨下端)
脛骨の末端と腓骨の末端が、いわゆるくるぶしです。
- 内側のくるぶし 脛骨末端
- 外側のくるぶし 腓骨末端
腓骨のほうが脛骨よりも、下にあり、後方に位置しています。
腓骨がより脛骨に対して下に伸びていることで、足関節の外反にひねる捻挫は構造的に起きにくいです。
また、腓骨が後方に位置しているということは、下腿が外旋方向に捻じれているわけです。
これを下腿外捻といいます。
下腿外捻は、一般的に約20~30度です。
下腿外捻が20~30度あって、脚がまっすぐになっているわけです。
下腿が過度の外捻や内捻している場合には要注意です。
下腿が過度の外捻や内捻している状態を、O脚やX脚とも呼びます。
おまけ O脚
O脚とは、
- 下腿弯曲(内弯)
- 下腿捻転(内捻・外捻)
- 下腿外旋
- 下腿外方偏位