立ち仕事の後、スポーツ後に多い足首がバンバン腫れる・浮腫むというケース。
単に筋骨格系だけの問題ではなく、内科的疾患や栄養など、様々な問題が複合的に絡んでいます。
徒手療法的にと言いますか。筋骨格系から「足首が腫れる・浮腫む」について考えたいと思います。
支帯(retinaculum)について
支帯(retinaculum )という名前はご存知でしょうか?
あまり聞き馴染みがない組織かもしれませんね。
支帯は、近年では筋膜リリースという言葉が流行っていますが、筋膜リリース界隈で注目されている組織ですね。
それはそうと、支帯という組織は慢性的な足首の問題に関わる重要な組織です。
その名の通り帯状の結合組織で、支帯の下には多くの足首に付着する腱が通っています。
- 上伸筋支帯
- 下伸筋支帯
- 上腓骨筋支帯
- 下腓骨筋支帯
- 足根洞を覆う屈筋支帯
などがあります。
その支帯の環境に影響を与える要因として関わる組織は考慮に入れなければなりませんが、以下伸筋支帯、外側内側の支帯を羅列します。
外側の伸筋支帯を通るものとしては
- 前脛骨筋
- 長趾伸筋
- 長拇趾伸筋
- 第三腓骨筋
- 深腓骨神経
などが走行します。
外側では長短腓骨筋がメインに関わります。
腓骨筋群は捻挫後に代償を引き起こしやすい筋肉ですので、慢性の足首痛には重要な筋肉です。
内側では屈筋支帯を通るものとしては
- 後脛骨筋
- 長趾屈筋
- 長拇趾屈筋
- 脛骨神経
などが走行します。
内側の支帯の問題は足根管症候群としても有名です。
足根管症候群は、脛骨神経の内圧変化などによるものと考えられることが多いです。
支帯(retinaculum)には神経レセプターが豊富
支帯は、足首に付着する多くの腱の組織を保護するだけでなく、固有感覚受容器などの神経レセプターを豊富に含む組織でもあります。
そのため、支帯はバランス機能や足首の動きにも大きく影響を及ぼすと考えられています。
また、支帯は平面構造ではなく、3次元的な構造となっていて、その複雑な構造の中に腱、靭帯などの組織が結合していたり、走行しているそうです。
そのため、支帯を走行する腱などの機能的な問題が、支帯の環境にも影響するようです。
- 例えば繰り返しの腱の滑走する事によるストレス
- 捻挫の影響による腱の滑走の不均衡
- 動かさない事による潤滑の低下など
によって支帯のフレキシビリティにも影響します。
支帯(retinaculum)にはヒアルロン酸が豊富
そして重要なのはこの支帯という組織は組織の中でもヒアルロン酸が豊富な組織です。
ヒアルロン酸は組織の潤滑に重要な基質成分です。
ヒアルロン酸は、腫れや浮腫みに大きく関わります。
1gのヒアルロン酸で6リットルもの水分を吸収すると言われています。
いわゆる筋膜とイメージする筋筋膜には6μgのヒアルロン酸が含有されています。
支帯には90μgものヒアルロン酸が含まれており、非常に豊富にヒアルロン酸が含まれていることがわかります。
また、ヒアルロン酸にも良いヒアルロン酸と悪いヒアルロン酸があり、炎症を抑え潤滑させるものもあれば炎症を助長し粘性をあげてしまうものもあるそうです。
スポーツや立ち仕事、慢性的な足首痛などの要因で、支帯の環境を悪化させて炎症を助長し、結果として足首が怪我をしていなくてもパンパンに腫れる・・・ということが起きてという事です。
「足首が腫れる・浮腫む」とインプット、フィードバックする機能を妨げる
これらの支帯の環境の問題は、スポーツや仕事などの過度な反復ストレスも影響しますが、足首を痛めた際に、支帯も共に損傷されているケースも多々ある・・・という報告もあります。
理由はさておき、足首が腫れた・浮腫むと、支帯には神経レセプターが豊富だという特徴があるため、適切な感覚をインプット、フィードバックする機能を妨げてしまう可能性があるという事です。
対処としてはとにかく腫れた状態を改善した後に、走行する筋肉や関わる関節の状態を改善するという流れが良いのではないでしょうか。