外反母趾は10:1で女性に多い代表的な前足部の変形です。
外反母趾は、人によっては痛みを伴うこともあります。
一見すると、母趾が小指側に曲がっているだけの変形に見えますが、実はそんなに簡単な変形ではないのです。
外反母趾もあるんだけど扁平足気味なんだよな・・・
と感じている方も多いのではないでしょうか?
外反母趾と扁平足の関係について解剖学的に解説します。
外反母趾と扁平足の関係について
外反母趾と扁平足は、必ずしも同時発生しているとも言い切れません。
人によりますが、外反母趾と扁平足とは必ずしも関係があるとも言えません。
外反母趾、扁平足ともに、発生フローが若干異なるのです。
外反母趾、扁平足についてそれぞれ解説します。
外反母趾について
外反母趾で最も多いケースについて解説します。
外反母趾の方の多くが、構造的に一番短いはずの第1中足骨が、一番長いはずの第2中足骨よりも長くなってしまっているのです。
特に子供の場合、先天的に第1中足骨が長くなってしまっており、外反母趾の原因になっています。
第一中足骨が第二中足骨よりも長い。
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構造的にどうしても第一中足骨が内反する。
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内側種子骨に付着する母趾外転筋は短縮位になり、外側種子骨に付着する母趾内転筋は伸長位となる。
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伸長された母指内転筋は静止張力が高まり、外側種子骨を外側に引く力が大きくなる。
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母趾が外反方向に引かれて変形が生じる。
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外反母趾
という流れで外反母趾になっています。
ここで注目するべき部位は中足骨です。
中足骨は5つあり、いわゆる「足趾」の根元部分です。
内側から第1中足骨、外側が第5中足骨の順番です。
第1中足骨は最も短く、最も太いです。
また、第1中足骨は外反母趾に関係する骨です。
第2中足骨は最も長く、楔状骨と第1,3中足骨と、強固に連結されています。
楔状骨と第1,3中足骨と、強固に連結されていることにより、歩行時に蹴り出し時の負荷に耐えられるようになっています。
外反母趾の方というのが、構造的に一番短いはずの第1中足骨が、一番長いはずの第2中足骨よりも長くなってしまっているのです。
特に子供の場合、先天的に第1中足骨が長くなってしまっており、外反母趾の原因になっています。
扁平足(回内足)について
過回外を前から見るとこうなっています。
扁平足(回内足)は、内側縦アーチの低下によるものだと言われています。
最近の研究結果によると、扁平足(回内足)の多くが先天性ではないかと言われています。
捻挫など外傷性など後天性による場合もあります。
足の内側縦アーチを維持するものは、筋よりも靱帯です。
さらに、距骨下関節の回内の動きで接地期の間に距骨下関節が回内しうる最終域は
- 距骨下関節と横足根関節の運動軸の先天的な位置
- 関節面の形状
- 骨を連結する靭帯の順で制限されている
「筋の果たす役割は大きくない」となっています。
参考文献
https://trove.nla.gov.au/work/22705060
つまり、回内足の可動域は、骨性や靭帯によって決まっている部分が大きく、先天的な要素があります。
となっています。
そもそも距骨は靭帯で筋肉が付着しない唯一の骨です。
9個の靭帯で支持されています。
回内足で「筋の果たす役割は大きくない」というのは、最もなことですね。
ただ、参考文献にもありますが、例外的なケースも多数あります。
これは、身体の構造は個人差が大きいと示唆していると言えます。
人種や性別が違えば、大いに考えられるます。
また、親と骨格が似るという観点からも、回内足が遺伝的に影響するのかもしれません。
しかし、足部の環境要因に左右されることも大いにあります。
また、距骨下関節の関節の動き方の定義が異なるということもありそうです。
距骨下関節の動き
距骨下関節という関節の動きには回内、回外があります。
回内・回外以外には
- 内転・外転(18,5〜9,9度)
- 内がえし・外がえし(18.6〜13度)
- 底屈・背屈(11.2〜5度)
の動きがあります。
文献によって距骨下関節や横足根関節の運動軸の表記が異なります。
例えば、距骨下関節の運動軸
- 水平面 69〜20度
- 矢状面 47〜4度
参考論文
https://ci.nii.ac.jp/naid/130007483891
https://ci.nii.ac.jp/naid/130005175225
回内足と扁平足は厳密には違う?
臨床を行なっていて見ることが多い扁平足の大半は、「回内足」によるものです。
先天的なものを「扁平足」と呼びます。
*ドイツなどの足病医は、扁平足と回内足を明確に区別しています。
私は、患者さんに説明するときは、あえて「回内足」を「扁平足」と説明することがあります。
「回内足」と説明しても、なかなか患者さんには伝わりにくいですから。
「回内足」を「扁平足」は厳密には違うわけです。
「回内足」を「扁平足」では、アプローチの仕方が変わることがありますので、明確しなければいけない位場合もあります。
まとめ
外反母趾と扁平足は、必ずしも同時発生しているとも言い切れません。
人によりますが、外反母趾と扁平足とは必ずしも関係があるとも言えません。
外反母趾、扁平足ともに、発生フローが若干異なるのです。