患者さんからの質問で、意外と多いのが股関節と腰痛の関係です。
「股関節が可動域が低下すると腰痛になりやすくなります」
「股関節をストレッチして腰痛予防しましょう!」
と言われることが多いようです。
リサーチしてみました。
Q 股関節の可動域低下は腰痛に繋がりますか?
A 一般の人は関係ない可能性が高い。
回旋系のスポーツをするアスリートの場合、代償パターンを生み出し股関節の可動域低下が腰痛につながる場合もある。
侵害受容器が過敏化して腰痛になるが、股関節の代わりに腰椎が動き過ぎるなどの直結はしない可能性が高い。
ということでした。
一般的には、股関節の可動域低下と腰痛の相関関係は議論されています。
多くの場合、腰が固いとか、腰の左右差などが腰痛の要因であると言われがちです。
腰痛と股関節可動域の相関関係に関するいくつかの研究や論文も出ています。
腰が固いとか、左右差などが腰痛の要因であると示すいくつかの研究がありますが、まったく相関関係がないことを示すいくつかの研究もあります。
- いくつかの異なる身体のタイプ
- 活動レベル
- 右利きと左利きをグループ化
などでもう少し分けて考えないと、誤った仮定が生じる可能性が高いということです。
股関節可動域低下と腰痛について
バイオメカニクス的には、股関節可動域低下が腰痛の原因になるというのは、完全に理にかなっています。
股関節の可動性の低下は代償的に違う場所で補う必要があり、残念ながらこれはおそらく腰椎で発生します。
膝や足首などで代償するというのは、現実的には少ないようです。
股関節可動域の減少と腰痛の相関関係を示す調査研究を詳しく見ると、腰痛のある被験者は股関節可動域が約5度少なかったということ。
5度というのは、かなりの動きの量の損失ですが、5度がすべての人々を制限しません。
そもそも普段、股関節の可動域をフルに使って生活していますか?
デスクワークの方の大半が、仕事や日常の活動を行うために股関節フルレンジ必要としていますか?
歩くには、股関節と骨盤の回転で約15度しか必要ありません。
フルレンジの股関節の動きは必要ありません。
股関節の可動域の大きな偏差は誰にとっても問題になる可能性がありますが、股関節の可動域が5度失われることで、腰痛に苦しむすべての人に影響があるでしょうか?
毎日、股関節のフルレンジ使って生活している方以外は、あまり関係ない可能性が高いです。
回転系のアスリートにおける股関節の可動域低下と腰痛の関係
最近の研究では、回転スポーツアスリートにおける股関節の可動域と腰痛の相関性が高いのでは?と言われています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12801212
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2597839/
- テニス
- ラケットボール
- ゴルフ
この研究によると回転スポーツに参加した48人の被験者を調査したそうです。
腰痛の既往歴のある患者とそうでない患者を比較すると、腰痛のある被験者は股関節の動きが大幅に少なく、腰や股関節の非対称性が大幅に高かった。
これまでのところ、回転運動選手を対象とした研究はすべて、股関節可動域低下と腰痛との間に高い相関性と示しています。
特定の患者集団が少ない他の研究では、一貫性の低い結果が示されています。
回旋系のスポーツをするアスリートの場合、股関節の可動域低下が腰痛につながる場合もあるということ。
デスクワークの方に関しては、ほとんど関係がないということ。
すべての要因を評価する
この文献によると、
とにかく全ての要因を評価すること。
片側の股関節の可動域が5度少ないために腰や背中の痛みの主な原因であると思い込まないでください。
股関節の可動域の低下が腰痛の原因であると想定する前に、各人を徹底的に評価してください
となっています。
バイオメカニクスや構造面だけが痛みの原因ではありません。
様々な角度から評価する必要があります。
参考文献
Does Hip Range Of Motion Correlate to Low Back Pain mikereinold.com/does-hip-range… @mikereinoldより
https://mikereinold.com/does-hip-range-of-motion-correlate-to-low-back-pain-maybe-not-in-everyone/