新規の患者さんに意外とよく言われることがあります。
前に通っていたところで言われたとのことですが。
「腰痛の原因は〜骨盤の歪みです〜」
「脚の長さが違いますね~骨盤歪んでますね~」
と言われたとのことです。
意外と、これを言われてくる方が多いんですよね。
腰痛・骨盤の歪みと足の長さの相関性について解説します。
画像診断以外の短下肢評価はほぼ主観によるもの
画像診断以外の短下肢評価はほぼ主観によるものです。
「脚の長さが違いますね~骨盤歪んでますね~」
などと危機感を煽られるように言われても鵜呑みにしないようにしましょう。
画像診断以外での短下肢評価の精度は極めて低く、信頼するに値しません。
適切な治療を計画するには、脚長不一致(LLD)を定量化するために、正確で信頼性の高い検査が欠かせません。
現時点では、画像診断以外の徒手検査などによる検査では、正確性・新来世が乏しく、有効性に乏しいという結果になっています。
例えば膝と腰部の周辺の屈曲拘縮は、脚の明らかな短縮を引き起こす可能性があります。
股関節の外転拘縮と足首の変形拘縮は、影響を受けた脚を機能的に長くする傾向があります。
もちろん徒手による牽引、圧迫で関節は変化しますし、筋肉の収縮でも脚長不一致(LLD)は発生します。
参考論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2628227/
短下肢評価と腰痛について
脚の長さの不平等一般代償歩行異常に関連し、下肢及び腰椎の変形性関節症につながる可能性があります。
脚長不一致(LLD)のある方は、腰椎の角度やねじれの変形だけでなく、機能的な脚の長さに影響を与える可能性があります。
同側または反対側の四肢の軟部組織拘縮を起こすこともあります。
参考論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2628227/
画像診断上、脚長不一致(LLD)だった場合、骨自体の長さが異なるわけですから、徒手療法での改善というのは難しいのではないでしょうか?
仮に、徒手療法で「骨盤の歪み」とやらを改善したとして、脚の骨自体の長さが伸びたり縮んだりすることは不可能でしょう。
脚長不一致(LLD)と腰痛は多少の相関性がありますが、脚長不一致(LLD)が全ての要因ではありません。
腰痛の要因は多岐にわたり、「腰痛の原因は脚長不一致(LLD)です」と言い切れません。
まして
「腰痛の原因は〜骨盤の歪みです〜」
「脚の長さが違いますね~骨盤歪んでますね~」
ということ自体は構いませんが、きちんと画像診断したドクターが言うべきでしょう。
徒手療法で、脚の骨自体の長さが伸びたり縮んだりすることは不可能ですし、脚長不一致(LLD)を改善することは不可能でしょう。
腰痛の因子は多岐に渡る
Joint By Joint Theoryで腰部は安定を担っており、腰椎のスタビリティが低下して腰痛になると言われています。
「腰痛」に至るまでにはこのneural 、mechanical の関係があり、スタビリティ低下で腰痛になるわけではありません。
参考論文
Are Stability and Instability Relevant Concepts for Back Pain?
椎間板が痛みの原因になり得るのかどうか?
痛がる人の椎間板・軟骨終板には病理的神経新生と支配(pathologic neoinnervation)が起きている
参考論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3945018/
慢性腰痛で感じる硬く感じるような鈍痛では、組織的な硬さと関係なく感じるという研究結果があります。
腰痛良くなった=腰痛を感じなくなった
という感知を変えるのはプラシーボでも変わるとのこと。
参考論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28851924
腰痛のSystematic Review and Meta-analysis
参考論文