「手首の小指側が痛い」
そんな相談を受けることがあります。
手首の腱鞘炎で一般的なのは、手首の真ん中が痛くなることです。
小指側といえば、「少し腱鞘炎とは違うようだし、何だろう?」
と思われるかもしれません。
これはTFCC損傷(三角繊維軟骨複合体損傷)のことが非常に多いのです。
TFCC損傷(三角繊維軟骨複合体損傷)について
あまり聞きなれない、マイナーな疾患かもしれませんね。
そんなマイナーな「TFCC損傷とは何か?」
できるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
病院や整骨院などでは、
「手首の捻挫でしょう」
「手首の腱鞘炎でしょう」
と一言で片付けられてしまうことが多い疾患でもあります。
ところが、なかなか痛みが引かなかったり、よくなったと思っても、また痛みが再発したり、、、
それで調べて当院に来院される方は多いのです。
TFCC損傷はの具体的な症状ですが、
- フライパンを持つと手首が痛い
- ドアノブを回すと手首が痛い
- 腕立て伏せが痛くてできない
- テニスやバトミントンで痛みが出る
という症状が多いです。
TFCCとはTriangular Fibrocartilage Complex(三角線維軟骨複合体)です。
そのTFCCを構成するものには、左図の4つの靭帯があります。
- 尺骨三角骨靭帯
- 尺骨月状骨靭帯
- 掌側橈尺靭帯
- 背側橈尺靭帯
この4つの靭帯に加え、関節円板があります。
靭帯と関節円板が複合体となり、手首の外側の安定支持を行っています。
この複合体の総称がTFCCと呼ばれます。
TFCCを構成する靭帯や軟骨が、それぞれの役目を果たすことで手首を支えます。
TFCCが手首の小指側の部分の衝撃吸収作用を行っているわけですね。
サスペンション理論と呼ばれたりもします。
サスペンション理論のより、なめらかな手首の運動が可能となります。
このTFCCに亀裂が入るとクッションの役目を果たす支持部分が損なわれます。
すると、握力が落ちたり、手首を回したり、手をつくと痛みが出ます。
これがTFCC損傷の病態です。
尺骨突き上げ症候群
本来ですと、前腕の骨の橈骨と尺骨という骨は、キレイに一列に並んでいるはずです。
手首の小指側に痛みが出る方は、尺骨という骨が手首側に突き出てしまっている方が多いです。
パッと見た感じは、ほとんどわからないのですが、手首を丹念に触診すると、わかります。
突き出た尺骨の圧力により、TFCCにかかる圧力がより強くなります。
これを「尺骨突き上げ支症候群」と呼びます。