スポーツや筋トレをやっていると、knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)という言葉を聞いたことがあると思います。
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)とは、膝が内側に入り、つま先が外側に向いた状態のことです。
一般的には、knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)は膝に負担がかかりやすく、非常によろしくないイメージがあると思います。
参考動画
このknee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)は、膝に負担をかけるモーションとされ、膝の痛みの原因と言われてきました。
ところが最近の研究では、必ずしもknee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)は、膝の痛みそのものに直結しない事もあると言われています。
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)のメリット・デメリットを解説します!
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)を行うメリット
結論から言うとknee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)を行った方が、
「最大筋力を発揮しやすくなります!」
例えばバーベルスクワットで、knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)をうまく使う事で、高重量を扱えます。
バーベルスクワットを行う上で、メインセットに入る前は(軽重量)knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)しないが、メインセットに入ると(高重量)になるとknee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)すると言う方がほとんどだと思います。
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)行うと、最大筋力を発揮しやすくなる理由に、股関節(骨盤)を持ち上げやすくなるというメリットがあります。
股関節を内旋(ニーイン)してしゃがむ事で、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせ、股関節を挙上方向に働かせます。
つまり、股関節を内旋(ニーイン)して、大腿骨を内側に絞る事で、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯をフル活用して、立ち上がり動作を手助けすることを可能にするわけですね。
この動画のように、パワーリフターの選手の中には、knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)を理解して、うまく活用することで、高重量を上げるつつ、ケガのリスクを下げるという事をやっている選手もいます。
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)のデメリット
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)のデメリットといえば怪我のリスクです。
- 腰の痛み
- 背中の痛み
- 股関節の前側のつまり、痛み
- 足首の痛み
- 膝の痛み
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)を行うと、股関節の挙上を助けてくれる代わりに、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせてしまいます。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、デメリットも発生します。
- 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、「股関節の内旋」が強くなります。
- 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、「下腿には外旋」が強くなります。
*注 これは、膝関節の角度に関係ありません。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、膝は内側にねじれの力、下腿外旋に捻る力が加わります。
すると、膝の内側を支える「内側側副靱帯、半月板、鵞足」などに大きなストレスが加わります。
すると、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、
- 足首の痛み
- 膝の痛み
のリスクが発生します。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、骨盤を前傾を促します。
反り腰の状態を作りやすくなります。
骨盤の前傾が強くなると、せん断力が強くなります。
- 腰の痛み
- 背中の痛み
- 股関節の前側のつまり、痛み
というリスクが発生します。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の解剖学とバイオメカニクス
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の解剖学
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯は、股関節〜膝をまたぎ、股関節・膝関節の動きに関わります。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯は大臀筋、中臀筋と連結しています。
腸脛靭帯は靭帯という名前がついていますが、筋肉的な仕事をしています。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯のバイオメカニクス
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の作用として
- 股関節 内旋・屈曲・外転
- 膝関節 屈曲 伸展
- 下腿の外旋
knee out (ニーアウト)で、膝関節を外側から支える形で「動作の安定」を保ちます。
股関節内旋(ニーイン)する時に「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」が強く働きます。
膝関節の作用で屈曲・伸展となっていますが、どういう事でしょうか?
屈曲・伸展ということは、正反対の動きですよね?
そんなことはあるのでしょうか?
実は、「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」は膝関節の屈曲角度で作用が変わるのです。
- 膝関節屈曲90°以下(膝を深く曲げる動作)で、「膝伸展」
- 膝伸展屈曲90°以上(膝を浅く曲げる動作)で、「膝屈曲」
なんと、膝関節90°を境目に、作用が切り替わるのです。
スクワットの切り返しや、立ち上がる時など、股関節の挙上方向に働くと、多くの場合「膝を深く曲げる動作」(膝関節屈曲90°以下)です。
「膝関節屈曲90°以下」になると、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯が「膝伸展」に作用し股関節(骨盤)挙上の手助けをします。
股関節を内旋(ニーイン)して、大腿骨を内側に絞る事で、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯をフル活用して、立ち上がり動作を手助けすることを可能にするわけです!
まとめ
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)をうまく使う事で、骨格で立ち上がることができ、筋肉への負担を減らすメリットがあります。
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)を使わない事で、骨格への負担は減らすことができますが、筋肉の怪我が増える可能性があります。
私自身も経験がありますが、スクワット時に、ニーインしない事を意識しすぎた結果、内側広筋・縫工筋といった筋肉を怪我しまったことがあります。
こうやって調べて検証していくと、knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)が言い、悪いとは一概に言えなくなってきます。
ここで大事なのが、knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)を正しく理解するということです、
- 「ニーインしちゃう癖がある」
- 「あえてニーインを行う」
では、結果は同じなのですが、意味合いが随分変わってきます。
knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)を正しく理解した上で、ケースバイケースで使い分けができるといいのではないでしょうか。
参考論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/13/1/13_1_44/_pdf/-char/en