「距骨の調整はやっていますか?」
「距骨のズレはみていただけますか?」
という問い合わせをいただくことが、最近増えています。
そういえば、あまりそういった記事を書いていなかったなと思い、今回記事にすることにしました。
距骨がズレる?
距骨はズレます。
ざっくりと言うと、脛骨・腓骨に対して距骨は前内側にズレがちです。
ただ、”ズレる”という表現は医学的には、あまり適切ではないかもしれませんけどね。
便宜上、この記事ではズレるという表現で統一します。
距骨がズレることで、足首の動き、回内足、膝の動き、股関節の動き、背骨の動き、肩関節の動き、肩甲骨の動き、姿勢、呼吸、眼球運動など、間接的に与える影響は大きいと思われます。
距骨のズレが改善されると?
距骨がズレが改善されることで、足首の動き、回内足、膝の動き、股関節の動き、背骨の動き、肩関節の動き、肩甲骨の動き、姿勢、呼吸、眼球運動が改善する可能性があります。
これらは、直接的にバイオメカニクスでキネスティックチェーンで直接的に変化が出るわけではありませんが、間接的に与える影響は大きいと思われます。
距骨のズレはエクササイズで良くなる?
距骨は人体で唯一筋肉が付着しない特殊な骨です。
距骨は、筋肉に直接支えられていないとするということは、何に支えられているのでしょうか?
距骨の位置や安定性は、骨と靭帯、関節包に依存しています。
距骨の位置は、筋肉による影響を受けません。
距骨には筋肉が付着していないのですから当たり前です。
距骨の位置は、筋肉による影響を受けないということは、言い換えれば、「距骨の位置は筋によって修正できない」という事でもあります。
エクササイズで距骨のズレを改善することは非常に難しいです。
距骨を筋肉によって正しい位置に持ってくるというのは、直接的にはできません。
距骨のバイオメカニクス
下腿(脛骨・腓骨)の骨と関節で「距腿関節」を構成しています。
距腿関節は、底屈背屈の動きに関与しています。
距腿関節の背屈時には、距骨は脛骨腓骨の両間に入り込んでいきます。
距腿関節の底屈時には、距骨は脛骨腓骨の両間から距骨が前方へ突出します。
距骨は筋肉が付着していないのに、距腿関節の底屈背屈の動きがなぜ起きるのでしょうか?
答えは、骨の形(構造)や靭帯のテンションによって、距腿関節の底屈背屈が可能になっています。
また、前距腓靭帯が損傷した場合、関わる他の8個の靭帯のテンションによって、距腿関節の底屈時に距骨はより前内側へと引っ張られやすくなってしまいます。
また、距腿関節の背屈時には、より前へ出てしまった距骨が、脛骨腓骨間に戻りにくくなります。
この距骨が前方に突出した状態は、いわゆる距腿関節の「背屈制限」と呼ばれ、一般的には距骨のズレとも呼ばれます。
距骨を支える9個の靭帯
画像引用元 http://www.fff.or.jp/seikei/sportsmedical_center/ankle01.html
距骨に付着する靭帯
前側
- 距舟靭帯
- 前距踵靭帯
後側
後距踵靭帯
内側
- 前脛距靭帯
- 後脛距靭帯
- 内側距踵靭帯
外側
- 前距腓靭帯
- 後距腓靭帯
- 外側距踵靭帯
距骨がズレている方に問題が起きている靭帯は、外側にある前距腓靭帯です。
軽度の足の捻挫(足関節内反捻挫)でもまず先に損傷する可能性が高いのが外側にある前距腓靭帯です。
この9個の靭帯が、距骨と距骨周囲にある骨との連結して、距骨は正しい位置をキープしています。
前距腓靭帯は、距骨が前内側に行くことを阻止しています。
つまり前距腓靭帯に問題が発生すると、距骨が前内側に突出し、距骨がズレるという状態になります。