ぎっくり腰というのは、実は医学的な診断名ではありません。
急に腰が痛くなることをぎっくり腰といいます。
ぎっくり腰になって調べてみると、さまざまな情報が出てきてしまいます。
まずはぎっくり腰を2つに鑑別しなければいけません。
ぎっくり腰の鑑別
- 怪我など、病理的に問題が起きている場合
- 病理的に問題がない場合
怪我など、病理的に問題が起きている場合
スポーツ中に、尻もちをついた、転んだ、タックルを受けたなど、怪我による場合が該当します。
重量物を持ち上げて腰を痛めた、という場合も該当する場合があります。
スプラングバック、椎間関節捻挫、椎間関節症、圧迫骨折、椎間板ヘルニアなどの病名がつく場合です。
こう言った場合は、病理的に問題が起きているので、民間療法や徒手療法での改善は期待できません。
まずは医療機関を受診し、医師の診察を仰ぐべきでしょう。
こう言った場合は、ぎっくり腰というよりも腰部の外傷と言っていいでしょう。
病理的に問題がない場合
私もたまになるのですが、病理的に問題ないぎっくり腰です。
ぎっくり腰では一番多いケースではないでしょうか。
朝起きたら、なんか急に腰が痛くて前に屈めなかった、洗濯物を干す、イスから立ち上がる、くしゃみや咳、顔を洗おうと前に屈んだら痛くなった、など、怪我とも言えないような軽作業をきっかけになる場合です。
こういった場合で、医療機関に受診しても病理的に問題がないケースがほとんどです(100%ではありません)
逆にいうと、病理的に問題ないぎっくり腰の場合は原因不明と言われることが多かったのです。
現在では、過去に原因不明と言われてきたぎっくり腰もメカニズム、治し方が確立されています。
病理的に問題ないぎっくり腰の場合は、外傷ではなく慢性症状の延長線上とも言えます。
ぎっくり腰は屈曲型、伸展型に分類される
屈曲型は、前に屈めなくなります。
ぎっくり腰で一番多いパターンですね。
伸展型は後ろに反れなくなります。
ニューテーション、カウンターニューテーションと呼ばれる仙骨複合運動に問題が起きて、屈曲型ぎっくり腰、伸展型ぎっくり腰が発生します。
ニューテーションとは、仙骨のうなずき運動とも呼ばれ、仙骨が腸骨に対して相対的に前傾し、腸骨が後方回旋する運動のことです。
カウンターニューテーションとは、仙骨の起き上がり運動とも呼ばれ、仙骨が腸骨に対して相対的に後傾し、腸骨が前方回旋する運動を言います。
仙骨の上にあるのは腰椎の5番ですが、仙骨が前傾するときは、腰椎5番は後傾し、仙骨が後傾するときは、腰椎5番は前傾します。
屈曲型ぎっくり腰の場合、仙骨後傾し腰椎は前傾するため、前に屈めなくなり、腰椎の後方の靭帯が伸長され痛みを発することもあります。
もう少し言うと、仙骨の左右の回旋の問題も発生しますので、腰椎の側屈制限の問題も発生することが多いです。
ぎっくり腰のメカニズム
なぜ仙腸関節、腰仙関節に問題が起きるのでしょうか?
これがぎっくり腰のメカニズムに該当します。
呼吸運動があります。
息を吸う際には、仙骨が前傾し、息を吐く際には仙骨が後傾します。
動作時と、呼吸時にニューテーション、カウンターニューテーションの動きが一致しなかったり、逆の動きになってしまい、ぎっくり腰になってしまうのです。
咳やくしゃみなどでぎっくり腰になってしまうのは、こういった理由が挙げられます。
これがぎっくり腰のメカニズムです。
ぎっくり腰で、多裂筋などが筋異常を起こすのも、仙腸関節、腰仙関節に問題が発生するからです。
ぎっくり腰の治し方
基本の解剖学に則った治し方になります。
治し方よりも大事なのが、鑑別と評価です。
仙腸関節、腰仙関節、多裂筋の機能異常、機能低下している場所を見つけて施術を行うという治し方が確立されています。
仙腸関節、腰仙関節、多裂筋の治し方は、基本的なので、検索すればいくらでも出てくると思いますので、ここでは書きませんが、ぜひ調べてみてください。