スポーツをしていると、経験するのが足首の捻挫です。
整形外科や整骨院で働いていても、一番多く遭遇する外傷ではないでしょうか。
私も、初めて患者さんに包帯を巻いたのが、足首の捻挫でした。
足首の捻挫は、非常に馴染み深い怪我ではあるのですが、軽視されがちな怪我でもあります。
というのも、一度足首の捻挫をすると、クセになってしまったり、足首の痛みや違和感で悩まされる方が多いからです。
また、骨折の鑑別も非常に重要です。
足首の捻挫で病院を受診して、15%の方の骨折の所見があると言われています。
脅すわけではありませんが、「ちょっと足を挫いたかな〜」と思ったら実は骨折していたということがあるということです。
Ottawa Ankle Rules(オタワアンクルルール)を使って、骨折していないかどうか調べることができます。
非常に有名な評価法ですので、一般の方も知っておいていいのではないでしょうか?
Ottawa Ankle Rules(オタワアンクルルール)とは?
https://en.wikipedia.org/wiki/Ottawa_ankle_rules
評価ポイントは5つあります。
- 内果(内側のくるぶし)後下端6cmの圧痛
- 外果(外側のくるぶし)後下端6cmの圧痛
- 舟状骨の圧痛
- 第5中足骨(小指がある中足骨)の圧痛
- 受傷後すぐに4歩歩けるかどうか?(歩けたかどうか?)
圧痛とは、その場所を押して痛いかどうかです。
この5つとも問題がなければ、骨折している可能性は非常に低いです。
systematic reviewという論文では。27本の研究をまとめられています。
systematic reviewで扱われた患者は15,581人。
全員にこのOttawa Ankle Rulesを使って評価をしたところ、Ottawa Ankle Rulesの5つのポイント全部問題がなくて、骨折をしていた、というのはわずか47人 (0.3%) だったそうです。
Ottawa Ankle Rules(オタワアンクルルール)はあくまで評価の一つ
オタワアンクルルールが非常に有用な評価法だからといって、有効な評価方ですが、絶対的な評価方ではありません。
足首を捻挫して、恐ろしいほど足首がパンパンに腫れたにもかかわらず、オタワアンクルルールで全て問題がなかったと言って、「骨折はしていないから病院に行く必要はない」と考えることは危険です。
オタワアンクルルールを行う人の観察眼や評価スキルもオタワアンクルルールの正確さに大きく左右します。
また、患者さんに「痛みをどう認識させるか?」というのも、大きなポイントになります。
オタワアンクルルールを信頼しすぎることはやめましょう。
あくまでも数ある評価法の1つとして使い、様々な評価をしたうえで、その後どうするか?を考えていくべきです。
少しでも「怪しいかな?」「もしかしたら骨折してる?」と思ったら、病院で診てもらい、医師の指示を仰ぐべきです。
Ottawa Ankle Rules(オタワアンクルルール)で見落としが増える???
https://intmed.exblog.jp/8800141/
Practice Quality Improvement Report
A multifaceted strategy for implementation of the Ottawa ankle rules in two emergency departments
Published 12 August 2009, doi:10.1136/bmj.b3056
Cite this as: BMJ 2009;339:b3056
Ottawa ankle ruleの実行、三次で57.5%→94.7%、地域病院では51.6%→80.8%(P<0.001 for both).
レントゲン施行患者比率は、三次病院 95.8%→87.2%、地域病院91.4%→78.9% (P<0.001 for both).
骨折を示すレントゲン比率は、三次病院 20.4%→27.1%l (P=0.069)、地域病院で15.2%→27.2%(P=0.002)
骨折見逃し率は、三次病院で0→-2.9%、地域病院で0%→1.6% (ベースライン比較P=0.783 and P=0.747).
オタワアンクルルールを行う人の観察眼や経験、評価スキルもオタワアンクルルールの正確さに大きく左右します。
ベテランの先生がオタワアンクルルールを行うのと、キャリアが浅い先生がオタワアンクルルール行うのでは、正確性に差が出ると思われます。
しつこいですが、あくまで判断材料の一つにしてください。