先日、久しぶりの患者さんから話題になったことがありました。
某大手通販で、「ベルト?のような物を骨盤周辺に巻き付け、電動?で骨盤・お尻の筋肉を揉みほぐし、骨盤矯正をするというマシン」が売られているとのことです。
これまた某大手通販で、セルフ骨盤矯正のDVDが売られているそうですが、股関節のストレッチを全面に打ち出しているものが多いとのことです。
つまり、「骨盤矯正ってお尻を揉みほぐし、股関節のストレッチをすれば骨盤矯正ができるっていうこと?」
という疑問が残ったそうです。
プロの徒手療法家から答える形で、記事を描いてみました。
前提として骨盤矯正の定義が曖昧
この記事を読み進めていただく前に、大前提があります。
実は骨盤矯正の基準や定義が曖昧だということ。
詳しくは下記の記事を・・・
骨盤矯正の基準・定義がありませんので、何をやっても骨盤矯正といえば骨盤矯正なのです。
「お尻を揉みほぐし、股関節のストレッチをすれば骨盤矯正」
というのも決して間違いではありません。
ただ、多くの徒手療法家の方が「お尻を揉みほぐし、股関節のストレッチをすれば骨盤矯正」という話を聞いて思うことが。
骨盤矯正とうたうなら「しっかりと骨にコンタクトして骨を動かさないと矯正とは言えないでしょ」と思うのではないでしょうか?
骨盤矯正の基準・定義がないわけですが、偏っていますが、徒手療法家の視点から「お尻を揉みほぐし、股関節のストレッチをすれば骨盤矯正」についてか進めていきます。
「お尻を揉みほぐし、股関節のストレッチをすれば骨盤矯正」とは言えない
徒手療法家の視点から見れば、「お尻を揉みほぐし、股関節のストレッチをすれば骨盤の矯正」とは言えません。
- お尻の筋肉のもみほぐし
- 股関節のストレッチ
を施術しますと言えば良いと思いますが、骨盤矯正という理由はないと思います。
あくまで、お尻の筋肉のもみほぐし・股関節のストレッチでは、骨盤の関節面に刺激を入れるために「しっかりと骨にコンタクトして骨を動かす」ための矯正とは言えないかと。
骨盤矯正という名前だけ一人歩きしているような気がしているようです。
「お尻の筋肉もみほぐしマシン」
よりも
「骨盤矯正マシン」
という方が売れそうなので、そういうネーミングで販売しているのかもしれませんね。
詳しくは下記の記事を・・・
骨盤自体は半可動関節と言われるように、仙腸関節を直接動かす筋肉は付着していません。
お尻の筋肉で動いている? と言われています。
じゃあ、骨盤は「お尻の筋肉ほぐしたり、股関節ストレッチしておけばいいんじゃない?」
というのはわかりますが、徒手療法家的には、ほぐしたりストレッチすることを矯正とは言わないですよね。
こんな話、一般の患者さんからすればどうでもいい話で、骨盤が動く動かないといったところで、患者さんからしたら、「そんなの動いているって言えないよ!」って思うくらいどうでもいいくらい動かない。
でも、徒手療法家的には、「若干関節に遊びがあるような気もするから動く!」という話。
徒手療法家としては骨と骨をコンタクトしてちゃんと動かす事が、関節の矯正とか関節の調整と認識している方が多いと思います。
あくまで、そういっためんどくさい観点からすると「お尻を揉みほぐし、股関節のストレッチをすれば骨盤の矯正」とは言えません。
いわゆる骨盤の矯正(骨盤の関節面に刺激を入れる)だけ行っても、別に対して何も変わりません。
骨盤の関節面に刺激を入れたところで、体重が一瞬で落ちて痩せませんし、筋肉量が増えてマッチョになることもありません。
また、アレルギーやアトピー、癌・難病が治ることはありません。
腰痛などの痛みが改善するかどうかもわかりません。
私の施術を受ける方から言われることがあります。
「メリットもデメリットも言われるので、結局どうすればいいか分からない」
と。
本屋さんに行くと、言われる気持ちはわかりますよ。
「結局どうすればいいか」だけが明確に書かれた健康本が売れる理由がよくわかります。
何かを食べたり、どこかをストレッチしたり、どこかをもみほぐしたり、どこかを矯正するだけで、健康問題が解決するなんてことはありません。
機械や本、DVDを売りたいのはわかります。
多くの人に見てもらいたい。
だから目につく表現にしないといけない。
理解できます。
しかしながら、人の身体・健康に携わるからには責任が伴います。
たかが骨盤矯正というネーミングかもしれませんが、不特定多数に発信する事の危険性は理解してほしいところです。