どういうメカニズムで捻挫の後遺症が起きるのか?
出来るだけわかりやすく解説したいと思います。
なぜ捻挫がクセになるのか?
内反捻挫は、足首の内側に捻ってしまう捻挫です。
外反捻挫は、足首の外側に捻ってしまう捻挫です。
内反捻挫は、足首の外側や前側にある靭帯が伸ばされ、外くるぶしが腫れます。
捻挫といっても、一応靭帯損傷に分類されます。
この内反捻挫の時に、影響を受ける筋肉が長腓骨筋という筋肉です。
長腓骨筋は、外反というつま先を外側に向けて、足首を引っ張り上げる仕事をします。
内反捻挫をすると、長腓骨筋にもダメージがあり。炎症が発生して機能低下を起こします。
長腓骨筋にもダメージを受けたまま、鍛えずにスポーツするとどうなるでしょうか?
足首を外反する長腓骨筋が機能低下したままだと、また内反捻挫をする可能性が高くなることがイメージできるのではないでしょうか?
これが捻挫がクセになってしまう原因です。
この、長腓骨筋は非常に脆い筋肉と言われています。
繰り返しになりますが、捻挫グセは、この長腓骨筋が仕事ができなくなっているのが原因と言われています。
参考 足首の解剖学
参考 長腓骨筋
起始 腓骨頭、腓骨外側面
停止 内側楔状骨、第1中足骨底
支配神経 浅腓骨神経
主な働き 足関節の屈曲(底屈)、足の外反
参考 短腓骨筋
起始 腓骨外側面
停止 第5中足骨粗面
支配神経 浅腓骨神経
主な働き 足関節の屈曲(底屈)、足の外反
参考 後脛骨筋
起始 下腿骨膜、脛骨と腓骨の後面
停止 舟状骨、全楔状骨、立方骨、第2〜4中足骨底
支配神経 脛骨神経
主な働き 足関節の屈曲(底屈)、足の内反
クロスサポートメカニズムとは?
足関節内反捻挫を起こすとクロスサポートメカニズムが機能しなくなります!
足首の外側、前側の靭帯がダメージを受け、長腓骨筋の機能低下が起こります。
長腓骨筋が機能低下したままの状態で、足首を引っ張り上げる動きを繰り返すと、距骨が機能しません。
距骨が機能しない結果、後脛骨筋が伸ばされ、後脛骨筋の筋力低下も同時に起きます。
後脛骨筋と長腓骨筋の働きによって、爪先立ち動作(距腿関節底屈)で踵骨を安定させます。
爪先立ち動作(距腿関節底屈)は、つま先を上げる動き(距腿関節背屈)に比べると関節の構造上不安定です。
なぜなら下腿三頭筋は踵骨に停止していて、、距腿関節の動きに関わっていないからです。
ところが、下腿三頭筋の作用は距腿関節を底屈させますが、距腿関節をまたいで機能しています。
爪先立ち動作(距腿関節底屈)には、距骨に直接作用し安定させる筋肉が必要になるわけですが、距骨には筋肉はくっついていません。(人体で唯一筋肉が付着しない骨が距骨)
後脛骨筋と長腓骨筋は、踵骨を包む込み、足根骨の内外側圧迫により水平固定して、距骨下関節を安定させます。
後脛骨筋と長腓骨筋は停止部は中足部から中足骨ですから、足部遠位の安定性、アーチ(土踏まず)の保持にも働き、より足部をしっかりさせます。(硬い足を作る)
また、長腓骨筋は足根骨に外転力を働かせます。
後脛骨筋の収縮は内転力を働かせて、中足骨を固定します。
後脛骨筋の内転力は、長腓骨筋による外転力よりもはるかに強力です。
長腓骨筋だけでは後脛骨筋に負けてしまうため、足根骨を軽度外転に導くために短腓骨筋の補助が必要不可欠です。
長腓骨筋、短腓骨筋の共同作業で足根骨外転力を生み、後脛骨筋による内転力とイーブンになります。
距骨下関節が軽度回外位にあるときに、強い底屈力を生みます。
距骨下関節が回外にあることで、ショパール関節はロックされ、前足部は安定したテコとなり、足首の地面の蹴り出しが行いやすくなります。
距骨下関節が回外にあることで、強い蹴り出し、推進力が生まれます。
下腿三頭筋を効率的に働かせ、より推進力を高めるためには、腓骨筋、後脛骨筋の協同した相互的な作用が必要であると考えます。
まとめ
足関節内反捻挫を起こすとクロスサポートメカニズムが機能しなくなります!
足首の外側、前側の靭帯がダメージを受け、、長腓骨筋の機能低下が起こります。
長腓骨筋が機能低下したままの状態で、足首を引っ張り上げる動きを繰り返すと、距骨が機能しません。
距骨が機能しない結果、後脛骨筋が伸ばされ、後脛骨筋の筋力低下も同時に起きます。
クロスサポートメカニズムとは、後脛骨筋と長腓骨筋が、足底でクロスしてるからアーチ(土踏まず)が出来て、運動時に安定するというメカニズムです。
クロスサポートメカニズムとは、下腿三頭筋を効率的に働かせて、より歩行時の推進力を高めるため、長腓骨筋、後脛骨筋の協同した相互的な作用のこととも言えます。