スポーツが上手い人・仕事ができる人・健康な人は姿勢が良い!
という意見がウェブやSNSで多く見られます。
- 健康な人は姿勢がいい
- スポーツが上手い人は姿勢がいい
- 仕事ができるは姿勢がいい
- キレイな人は姿勢がいい
- かっこいい人は姿勢がいい
- 身体の不調がない人は姿勢がいい
- 姿勢が良いと太らない
姿勢が良くなれば全てが良くなるという論調も多く見られます。
逆に言えば「姿勢の悪さは諸悪の根源」という意見ですね。
リサーチしてみました。
姿勢が悪くても身体に問題は出ない?!
- 長時間のデスクワークで猫背の方
- 左右差がある傾いた姿勢の方
いわゆる「身体の歪み」の問題です。
「身体が歪んで姿勢が悪くなっています。だから身体に問題がでるんです!」
と言われた方は多いのではないでしょうか?
実際に私も患者さんに言っていた時期もあります。
しかしながら、様々な論文で取り上げられているように、歪みや姿勢が問題だと言われ、修正しても特に改善にはつながらないというケースが実はほとんどなのです。
しかしながら姿勢や歪みを修正する過程で、さまざまな刺激が身体に入ることで、結果として身体の問題が改善するケースはあります。
単に姿勢が悪い・良い、歪みがあるという単純な話ではないということです。
姿勢、歪みがどのように影響をしているのか?
を把握し必要であれば修正をするというのが良いかと思います。
ただ写真を撮って姿勢を見るだけでは分からないことが多いのではないでしょうか?
スポーツが上手い人は姿勢が良い?
参考論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6603331/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28767317/
トップアスリートは姿勢が良いと言及されていますが、理想的な姿勢がパフォーマンスが上がるというところまでは言及されていません。
スポーツが上手い人は運動能力が高いと言われます。
筋力も優れているかもしれませんね。
スポーツが上手い人は、優れたバランスや固有感覚、重力の移動に対する修正の能力も高いです。
単に筋力だけではありません。
安静位の姿勢でも、適切な関節の位置覚のインプットにより、理想的な競技における反応が行える状態というのが理想的な動きの中の姿勢といえるのではないでしょうか?
実際にバランス、固有感覚受容の機能が優れているとスポーツのパフォーマンスが上がるという文献は存在します。
例えばサッカーであれば、ボールを保持したりボールを追ったりする際に小脳前庭系。
身体の位置感覚へのフィードバック機構によりプレー中の身体の移動が適切に遂行されるなどの能力。
こういった能力は反復練習で養われます。
単に姿勢が良くなれば、バランスや固有感覚、重力の修正、小脳前庭系などが一気に強化されるわけではありません。
スポーツが上手い人が、スポーツ中に良い姿勢に見えたとしても、すべての人にとって良い姿勢とは限りません。
姿勢が良く、かっこよく見えたとしても、その人にとって適切な位置覚などを維持している姿勢なのです。
スポーツにおいては、
- バランス
- 固有感覚、
- 重力の移動に対して修正できる能力
などを磨くことが、姿勢を良くするよりも重要のようです。
- バランス
- 固有感覚、
- 重力の移動に対して修正できる能力
を磨くための反復練習を行うことで、結果として姿勢が良くなるということも大いにあると思います。
しかしながら、自尊心、自信もスポーツでは重要です。
自尊心、自信も良い姿勢を作るのに重要な要素です。
スポーツが上手い人は、自信に満ち溢れ、姿勢がよく見えるというのもあるのかもしれませんね。
スポーツをする上で理想的な姿勢は「身体の状態に関わらず柔軟に動きに対応できる姿勢」が理想的です
完璧な姿勢という人は実はいない?!
理想的な姿勢とはと検索すると以下のような姿勢が出てくるかと思います(画像はあえて載せませんが・・・)
足首、膝、股関節、肩、耳などが一直線でラインを形成しているような姿勢。
実は、こういった教科書通りの姿勢を作ること自体が実際はには困難なのです。
人造人間的な姿勢とでも言いましょうか。
個人それぞれに理想的な姿勢というのがあり、形にはめた構造的な理想的な姿勢というのは難しいのです。
「無駄な力が入らず、体に緊張がない状態、良い姿勢を取ってください」
をやってみてください。
実際には、非常に困難なことがわかると思います。
無理に姿勢を正そうとすると、どこかの筋肉が緊張しますよね。
どこかの筋肉が緊張状態で、よく言われる背筋がピッとした姿勢だったら良い姿勢でしょうか?
その姿勢をずっとやっていられないとすれば、良い姿勢とも言い切れません。
また、その姿勢が動きにくい姿勢だったら、その姿勢を正す必要がありますし、それだけ無駄な力を使っています。
そんな緊張状態の姿勢自体が、身体の適切な動き妨げられ、良い姿勢とは言えません。
「姿勢が良い=姿勢筋が強い」というわけではない?
姿勢はCNS(神経中枢のメインコンピューターのようなもの)でコントロールされて維持をしています。
身体のアライメントに問題があるとCNSがコントロールをして状態を修正します。
例えば痛みがある場合、痛みの部位を保護するように筋肉を抑制して、別の部位を活性して状態を修正し維持をしようとします。
例えばピッチャーであれば、投球動作をしやすいように身体の状態も修正されて、良いフォームで投げやすいようにします。
このように身体というのはうまくオートメーションで姿勢を補正する機能を持っています。
いわゆる猫背といわれているような肩が丸まるような姿勢は、CNSによる神経学的反応によって影響されます。
姿勢矯正バンドなどでアライメントを矯正しても、あまり根本的な解決につながらない可能性も高いのです。
まとめ
「動きを妨げない、次の行動にすばやく適切に動ける姿勢」
が重要です。
次の動きに移ろうとした時に、収縮状態から身体が立ち上がりの動きに対応するためには、それ相応の収縮能力が必要です。
単に脱力した状態が理想とも言えません。
その時の状態により、理想的な姿勢は変化します。
何も考えずに「足首、膝、股関節、肩、耳などが一直線でラインを形成しているような姿勢」を取っていれば、良いとも言い切れないでしょう。
姿勢という結果よりも、その姿勢に至った過程の方が重要とも言えます。