骨盤矯正という言葉はすっかりメジャーになりました。
整骨院・鍼灸院・あんま指圧マッサージの治療院・整体院・カイロプラクティクやリラクゼーション系のお店などでも、メニューとして取り扱っているところはたくさあります。
それだけ骨盤矯正という言葉がメジャーになると、様々なトラブルも起きているようですね。
- 骨盤矯正は意味ない
- 骨盤矯正は詐欺
- 骨盤矯正は根拠なし
といったどちらかと言えば、ネガティブな意見の方が目につくようになってきています。
「骨盤矯正で骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は動かないので、効果なし」
と言われるわけなのですが、実際どうなのかを解説します。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は動かせないけど、動かせる
- 骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は、自分で動かすことはできない。
- 直接、仙骨・腸骨・恥骨にコンタクトすれば仙腸関節や恥骨結合を動かすことができる
ということになります。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は、解剖学的には不動関節・半可動関節と書かれています。
そのため、ドクターや研究者の間でも見解が分かれています。
よくありがちな話としては、ドクターは動かないと言い、徒手療法家は骨盤(仙腸関節・恥骨結合)を動かせる言うという話です。
どっちがあっているという話ではなく、どっちもあっている話なのです。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は特殊な関節です。
何が特殊かと言いますと、骨盤(仙腸関節・恥骨結合)を動かすことができる筋肉がありません。
通常、関節を動かすために関節をまたぐ形で筋肉がくっついているのですが、骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は関節をまたいでくっついている筋肉がありませせん。
仙腸関節の場合、大臀筋は仙腸関節を跨いでいますが、仙骨・腸骨→大腿骨に付着していますから、大臀筋自体に仙腸関節を動かすことができません。
仙腸関節を動かす筋肉がないため、自分ではどうやっても動かせないということになります。
ただ、骨盤周辺に付着する筋肉の影響を多少は受けますから、関節的に多少は影響があるかもしれませんが。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)を動かすためには、骨盤周辺に付着する筋肉にアプローチするのではなく、仙骨・腸骨・恥骨にコンタクトして関節を動かす必要があります。
「骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は動かせないけど、動かせる」というのは、そういった理由です。
とは言え、骨盤(仙腸関節・恥骨結合)が動くといってもたかがしれていますが・・・
そもそも、骨盤(仙腸関節・恥骨結合)自体、可動性がほぼ無いと言ってもいい関節ですから。
繰り返しになりますが
- 骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は、関節を動かす筋肉がないため、自分で動かすことはできない。
- 直接、仙骨・腸骨・恥骨にコンタクトすれば仙腸関節や恥骨結合を動かすことができる
骨盤矯正というと、多くの治療院やお店では、お尻の筋肉のマッサージや股関節のストレッチを行って骨盤矯正と称しています。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)の矯正を行うには、骨に正確にコンタクトして、矯正する必要がありますが、ちゃんとできる先生は少ない印象ですね。
ちゃんと骨盤(仙腸関節・恥骨結合)の矯正をできる先生こそ、「骨盤骨盤骨盤」と連呼していない印象です。
骨盤が大事と言う意見もありますが、全身全ての関節が大事ですし、どこの関節が特に大事と言うことはありません。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)に刺激を入れたところで、どこに効いて、どの症状が治るとか、そう言ったものでもないですしね。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)はどれくらい動く?
動かすことができると書きましたが、骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は想像されているようなダイナミックに動くわけではありません。
動くどころか、動かないと言ってもいいレベルです。
関節が動くというレベルではなく、関節の遊びと行った方が良いかもしれません。
ちゃんと骨盤(仙腸関節・恥骨結合)が矯正できる徒手療法家なら、そんなほとんど動かない骨盤(仙腸関節・恥骨結合)の関節を動かしたところで、誇大広告されているような効果などは期待できないことがわかるはずです。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)の矯正ができない徒手療法家こそ「骨盤矯正」をアピールし、神格化している印象です。
骨盤矯正が詐欺的だと言われてしまう理由
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)に対して、誇大広告を出している治療院やお店が多いことが挙げられます。
例えば
- 骨盤矯正をするとアンチエイジング
- 骨盤矯正をすると免疫力が上がる
- 骨盤矯正をすると痩せる
- 骨盤矯正をするとウエストが細くなる
- 骨盤矯正をすると冷え性が治る
- 骨盤矯正をすると妊娠しやすくなる
- 骨盤矯正をすると、頭痛・肩こり・腰痛・坐骨神経痛が治る
といった具合に、効果を立証できないにもかかわらず、誇大広告を出し、結果トラブルを招き、詐欺的だと言われてしまっています。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)といったところで、別に全身にある関節の1つに過ぎません。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)が随分神格化されてしまっている気がします。
実際に、骨盤(仙腸関節・恥骨結合)が機能障害を起こしている方というのは、それほど多くはないどころか、少数です。
それにもかかわらず、「骨盤矯正やればなんでも治る」という論調が多いため、骨盤に対しての誤解を招いてしまっています。
骨盤(仙腸関節・恥骨結合)についての基礎医学の知識が不足しているため、骨盤に対して神格化するセラピストが多いのかもしれませんね。
まとめ
- 骨盤(仙腸関節・恥骨結合)は、関節を動かす筋肉がないため、自分で動かすことはできない。
- 直接、仙骨・腸骨・恥骨にコンタクトすれば仙腸関節や恥骨結合を動かすことができる