左右で肩の高さが違う・・・
という相談をされることがあります。
人に言われたり、自分で気が付いたりと、様々なケースで気がつくようです。
美容院で肩を揉まれているときに、言われる方もいるようですね。
気になってWebやSNSで調べると
- 肩の高さが違うことで肩周りの緊張が起きて肩こりがひどくなる
- 骨盤が歪んでいる
- 肩甲骨が硬い
- 姿勢が悪いから
- 身体が歪んでいる
- 脚の長さが左右で違う
などと書かれていて、どちらかというと左右の肩の高さが違う状態はネガティブな印象を受けます。
「左右の肩の高さが違うのはマズいので、左右の肩の高さを揃えましょう」
などと書かれていることが多いようですね。
左右で肩の高さが違うということはどうなのか?
解剖学的に解説します。
左右で肩の高さが違って本来なら当たり前?
実は、左肩が上がり右肩が下がるのはごく自然なことです。
右手と左手では、得意な動きや苦手な動きが異なります。
もっというと右手と左手では求められている機能が異なります。
やや強調して書いていますが、左右で肩甲骨の位置が異なります。
結果として左右の肩の高さが異なるということになります。
マウスやスマホなど、何かと一日中右手を手の平を下に向けて使うことが多いですよね。
すると、肩甲骨が写真のような位置に収まっている方が操作がしやすいということになります。
本来、人間は左右対象ではありません。
右利き、左利きがある時点でそうなのです。
左右均等の方が良いように思われていますが、必ずしも左右対象が言いわけではありません。
肩甲骨はどうなっている?
左肩甲骨
- やや挙上
- やや下方回旋
- やや内転(後退)
- やや後傾
を呈しています。
右肩甲骨
- やや下制
- やや外転(前突
- やや上方回旋
- やや前傾
を呈しています。
肩甲骨(肩甲胸郭関節)のバイオメカニクス
肩甲骨の運動は、胸郭面に沿う滑り運動と肩鎖関節を運動軸とする回旋運動に分類できます。
滑り運動と回旋運動は、単独で起こることはなく、滑り運動と回旋運動の組み合わせで起こります。
胸郭面に沿う滑り運動
滑り運動には
- 挙上
- 下制
- 外転(前突
- 内転(後退)
があります。
中立位(休息位)では、肩甲骨の外側縁は内側縁よりも前方にあります(内旋位)。
このとき、肩甲骨は前額断面の前方約30°の断面で、肩甲断面と呼ばれています。
肩甲骨の回旋運動
肩甲骨の回旋運動は、
- 上方回旋
- 下方回旋
- 内旋
- 外旋
- 前傾
- 後傾
です。
上肢の挙上時、肩甲骨は上腕骨の運動に連動します(肩甲上腕リズム)。
このとき、肩甲骨は上腕骨頭の基盤となっています。
そのため、肩甲骨が胸郭上で不安定な場合、上腕骨頭の運動障害が引き起こされ、インピンジメント症候群等の問題が発生します。
肩甲骨外在筋群の作用
僧帽筋 | 肩甲骨の内転(後退)挙上、上方回旋、頭頚部の伸展、下制 |
前鋸筋 | 肩甲骨の外転、上方回旋、下方回旋、肋骨の挙上 |
大菱形筋・小菱形筋 | 肩甲骨の内転、挙上、下方回旋 |
肩甲挙筋 | 肩甲骨の挙上、下方回旋 |
小胸筋 | 肩甲骨の下制、下方回旋、肋骨の挙上 |
大胸筋 | 肩甲骨の外転(前突)、肩関節の内転、屈曲、内旋、水平屈曲、吸気の補助 |
広背筋 | 肩甲骨の内転、下方回旋 肩関節の伸展、内転、内旋 |
肩甲骨内在筋群の作用
三角筋(前部、中部、後部) | 前部: 肩関節の屈曲、内旋 外転、水平屈曲 中部: 肩関節の外転 後部: 肩関節の伸展、外旋、外転、水平伸展 |
大円筋 | 肩関節の伸展、内転、内旋 |
肩甲下筋 | 肩関節の内転、内旋 |
棘上筋 | 肩関節の外転 |
棘下筋 | 肩関節の外旋、外転、内転 |
小円筋 | 肩関節の伸展、内転、外旋 |
烏口腕筋 | 肩関節の内転、屈曲の補助、水平屈曲 |
まとめ
実は、左肩が上がり右肩が下がるのはごく自然なことです。
左肩甲骨
- やや挙上
- やや下方回旋
- やや内転(後退)
- やや後傾
を呈しています。
右肩甲骨
- やや下制
- やや外転(前突
- やや上方回旋
- やや前傾
を呈しています。