腰痛は運動器疾患の中でも最も多いものだと言われています。
成人の90%の方が腰痛の経験者だと言われています。
また、
男では「腰痛」での有訴者率が最も高く、次いで「肩こり」、「せきやたん が出る」、女では「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」、「手足の関節が痛む」となっている 。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/04.pdf
となっており、10%近くの方が腰痛の自覚があるということですね。
街を歩いている人の10人に1人が腰痛の自覚があるということですから、かなり多いですよね。
腰椎の構造
腰椎は5つの骨からなり、通常は前弯(前方凸の曲がり)を呈しています。
腰椎は上半身の体重などに耐えられるように強固な力学的構造を有し、第5腰椎は脊椎の中でも最大です。
第3・4腰椎間の椎間板にかかる圧力は、立位100%です。
寝た状態が最も低く、立位で前屈すると約150%になります。
座った状態での前屈はさらに高くなると言われています。
腰椎の動き
腰椎は屈曲・伸展・回旋・側屈運動の3次元の動きが可能です。
屈曲は約50度、伸展は約15度であり、5つの腰椎にしては屈曲・伸展運動は比較的動きが大きいといえます。
側屈は左右約15〜20度可能です。
回旋は左右それぞれ約5度程度で、臨床上はほとんど動かないと言われています。
腰椎の上部脊柱である胸椎は回旋 約30度動きます。
腰を捻るとか、回すとかと言いますが、腰椎よりも上部脊柱である胸椎の部分が回旋運動は行なっています。
腰痛に対しての施術では、腰痛の前後屈や側屈の動きの改善が重要になってきます。
腰椎と骨盤の関係
上部体幹が静止した状態で腰椎を伸展させると、腰椎の前弯が増強し、それに伴い骨盤は前傾します。
反対に腰椎を屈曲させると腰椎は後弯し、それに伴い骨盤は後傾します。
つまり、立位や座位での脊柱のアライメントは骨盤のアライメントも変化させるのです。
原因と病態
腰・腰椎に由来するもの
- 腰椎の奇形などの、先天異常によるもの。
- 側湾症
- 腰椎分離症
- 腰椎分離すべり症
- 変形性脊椎症
- 椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰椎変性すべり症
- 腰椎椎体骨折や脱臼
- 脊椎カリエス
- 腰椎化膿性脊柱炎
- ガンなどの転移性脊椎腫瘍
腰以外に由来するもの
- 解離性大動脈瘤
- 尿管結石や腎結石などの泌尿科系疾患
- 子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系疾患
- 胆嚢炎や十二指腸潰瘍などの消化器系の疾患
- 変形性股関節症などの腰椎以外の疾患
診断
腰痛は様々なことが影響し、治療法や改善法も異なります。
ケースバイケースなのですが、レントゲン検査、MRI検査、徒手検査による可動域検査、徒手により筋力検査、骨シンチ、筋電図、血液検査、尿検査などを行います。
安静にしていても腰の痛みが軽減しない、もしくは悪化する。
腰痛と一緒に発熱している。
下肢が痺れたりして力が入らない、麻痺している、力が入らない、感覚がない、尿漏れする、などの症状の場合、重篤な疾患の可能性がありますので、すぐに病院を受診してください。
腰痛の予防と治療
病院では、投薬や注射、各種理学療法が一般的です。
腰痛の原因は、多岐にわたり、なかなか「これをやっておけば大丈夫です!」
と言えないのが辛いところです。
一般的な話になってしまうのですが、腰痛で日常生活に支障が出ると体力が低下していきます。
筋力も落ち、関節の動きなども悪くなってしまうことから、精神的にも肉体的にも負のループに入ってしまいます。
悪循環を断ち切るには、安静にしすぎないことですね。
また、運動をして腰痛が改善する方もいますが、悪化してしまう方もいます。
個々の状態に応じた、治療や運動の処方などは専門家に相談された方がいいでしょう。