蝶形骨の解剖学
境界
- 前方:篩骨と前頭骨
- 後方:後頭骨
- 側方:側頭骨
- 上方:頭頂骨
- 前側方:頬骨
- 前下方:口頭蓋
- 下方:篩骨
構成
- 体は立方体の形で中間部にある。
- 大翼は、蝶形骨の大きいほうの翼で両翼に1つずつある。
- 小翼は、小さい翼形の突起で、両側に1つずつある。骨蝶形骨の大きいほうの翼で両翼に1つずつある。
- 翼状突起は、蝶形骨の下面から出る翼形の突起である。
蝶形骨形成
頭蓋底角はおよそ128度である。6歳までに直立姿勢により頭蓋底の屈曲運動が強まる。
大翼ー翼状突起複合体と小翼ー体複合体は軟骨ー腱様膜ー関節により相互に連結する。
短い水平方向の翼状突起は、下方でU形になり、咽頭が入る空間を作る。
1歳で両側の小翼はつながる。小翼は横中隔膜前方部により側方へ引っ張られる。
蝶形骨の機能障害
一次的外傷性
誕生過程、転倒および打撲、抜歯、他の外科手術(鼻、副鼻腔および眼球)
二次的外傷性
頭蓋、頚椎および仙骨に隣接する構造の機能障害が蝶形骨およびSBSの機能に影響することがある。
蝶形骨に付着する筋肉の機能障害
側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋
咀嚼障害、歯ぎしり、顎関節痛、頭痛、各部の痛み(上顎、顔面中央、口腔底、耳)
上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋、上斜筋
蝶形骨、眼窩あるいは神経の障害により、これらの筋肉の筋緊張が変化し、その結果視覚障害が生じる。
口蓋帆張筋
耳管と口蓋帆に影響を与える。
口蓋咀嚼筋、上咽頭収縮筋
蝶形骨に付着する靭帯の機能障害
蝶錐体縫合の蝶錐体靭帯(グルーバー靭帯)
側頭骨錐体部の機能障害、抜歯、靭帯の硬直化
上顎の抜歯時に、同側の蝶錐体靭帯の機能障害が生じることがある。
これに対し、下顎の歯の抜歯時に反対側の縫合の機能障害が生じる場合がある。
これにより、外転神経の領域に症状が現れることがある。
蝶錐体靭帯の異常な緊張
- 水平複視
- 輻輳内斜視(寄り目)
- 内斜位
- 外側注視の制限
- 目の不調を補うため頭部を外側に向ける傾向
筋膜の機能障害
- 翼状突起間の腱膜
- 翼突側頭下顎腱膜
- 口蓋腱膜
- 眼窩筋膜
- 側頭筋膜浅葉
- 内臓筋膜
- 咽頭:筋肉の緊張亢進の発生
- 運動器および内臓器官(食道、胃、肺など)の機能障害
その結果、SBSの運動制限、関連する構造の機能障害が生じる。
頭蓋内硬膜と頭蓋外の機能障害
- 大脳鎌
- 小脳テント
- 小脳鎌および脊髄硬膜
ねじれの機能障害
大脳鎌は前方で前頭骨、後方で後頭骨に付着しているため、ねじれの機能障害により大脳鎌の捻転が生じる。
大脳鎌は前方で上昇する大翼から離れ、後方でこの大浴の側方、すなわち下降する後頭面に近づく。
小脳テントは、下降する後頭面の側は、尾方に動き、その反対側は頭方へ動く。
脊髄硬膜は、加工する後頭面の側は尾方へ動く。
側屈/回転の機能障害
側屈/回転の機能障害により、大脳鎌は凸面のすなわち機能障害のある反対側に曲がる。
同じく、小脳テントも凸面の反対側へ曲がる。
脊髄硬膜は、下降する後頭面の側は、尾方へ動く。
臨床
静脈血のドレナージの障害、脈絡叢の障害および硬膜にある脳神経の障害が生じる。