- 肋骨の出っ張りが気になる
- 肋骨が開いているような気がする
- 腰が反っているような気がする
- 姿勢・背中のラインが気になる
- 長い間、肩こりや腰痛で困っている
- 呼吸が浅い感じがして疲れが取れにくい
このようなお悩みはありませんか?
一般的には、骨盤の歪み、背骨の歪み、姿勢が悪いからと言われがちですが、肋骨に問題が起きている方は多いのです。
肋骨の施術について解説します。
肋骨が変わるとどうなる?!
こうやって見てみると、人体のおいて肋骨が占める割合というのは多いですよね。
これだけ大きな肋骨になんらかの刺激が入ったり、肋骨が変われば身体への影響は大きいです。
ところが、一般的に肋骨の評価や施術というのは抜け落ちがちです。
肋骨の施術などに関しても語られることは少ないです。
- 仕事やスポーツなどの身体活動
- 姿勢
- 呼吸
などにおいても、肋骨は大きく関与します。
- 身体の使い方が変わる
- プロポーションが変わる
- 姿勢が変わる
- 肩こりや腰痛が緩和する
- 呼吸がしやすくなり、疲れが取れやすくなる
などが期待できます。
肋骨の解剖学
肋骨は、胸部内臓を覆う骨です。
背骨から内臓を取り囲む形で付いています。
人間の肋骨は全部で24本。
両側に12本ずつ、それぞれ第1肋骨~第12肋骨と名前が付いています。
そのうち第1肋骨~第7肋骨は胸骨外側縁と接してお、完全に胸部を覆っています。
第1肋骨~第7肋骨に対して、第8肋骨~第12肋骨は胸骨と接しておらず前腹部は開いています。
肋骨全体としては肺と心臓をその内部に抱え、肝臓がその内部にほぼ収まります。
肋骨と呼吸・肩こり・腰痛の関係
基本的に、安静時の吸息は、斜角筋と肋間筋に横隔膜を加えた筋肉で行います。
安静時の吸息は、約70~80%は横隔膜をの働きによるものです。
安静時の吸息の20〜30%は、斜角筋と肋間筋で行っています。
安静時の吸息で横隔膜の活動が低下すると、斜角筋と肋間筋の活動が増えるということです。
横隔膜の活動が低下して、斜角筋と肋間筋の活動が増えると、首の痛みや肩こりや背中の痛みの原因になることもあります。
斜角筋の解剖学
斜角筋は前、中、後の3つで構成されます。
- 前斜角筋 第1肋骨と頚椎3~6横突起結節に付着
- 中斜角筋 第1肋骨と頚椎2~7横突起結節に付着
- 後斜角筋 第2肋骨と頚椎4~6横突起結節に付着
頚椎が固定されていれば、肋骨側を引き上げるように作用します。
もっと言うと、胸郭を引き上げる作用です。
また、胸郭を引き上げるということは、胸郭を拡げる動きです。
斜角筋が働くと、胸腔内容量を増やし、吸息筋としての役割を果たしています。
先ほども書きましたが、横隔膜の働きが低下した場合、代償動作として、斜角筋で強く引き上げる動作を行います。
斜角筋による胸郭の引き上げの繰り返しは、慢性的な斜角筋の緊張を作り、首こりや肩こりの原因になるわけですね。
肋間筋の解剖学
肋間筋は、内肋間筋、外肋間筋と最内肋間筋があり、3層構造になっています。
- 外肋間筋 吸気時に働きます。
- 内肋間筋 呼気時に働きます。
外肋間筋は最も表層にあり、上位肋骨の下面から始まり下位肋骨の上面につきます。
走行は外腹斜筋と同じで内下方に向かいます。
内肋間筋は内腹斜筋と同じ走行をし、外肋間筋と垂直に交わるようになっていて内上方に向かいます。
最内肋間筋は最も深層にあり内肋間筋と同じ走行です。
肋間筋の作用は、胸腔を拡げることです。
外肋間筋が吸気時に働き、内肋間筋が呼気時に働くことになっていますが、吸気時に両方働くとの文献もあります。
個人差があるのかもしれませんね。
また体幹の回旋にも関与します。
外肋間筋は外腹斜筋と、内肋間筋は内腹斜筋と同様の回旋を果たします。
また、肋間筋の大きな働きは、肋間腔の安定化があります。
胸郭(肋骨)の可動性がなくなると、斜角筋や背筋の活動が増え、肩こりになりやすい可能性も
肋骨の可動性がなくなり、本来の動きが失われているケースをよく見ます。
男性より女性に多い印象です。
肩こりを訴える方が男性より女性の方が多いのも、胸郭の可動性がない方が多いからかもしれません。
呼気や吸気で、胸郭の動かない場合、胸郭の引き上げが強くなり、斜角筋を始めとした首の筋肉や背筋も使います。
慢性的に斜角筋を始めとした首の筋肉や背筋を使い続けていると、慢性的な肩こり・腰痛の原因にもなります。
肋骨の可動性は軽視されがちですが、非常に重要です。
肋骨に付着する横隔膜の解剖学
横隔膜の特徴
横隔膜は、身体で最も左右差のある筋肉です。
右側が左側より少し高いです。
これは肝臓があるためです。
また、横隔膜は筋腱性組織であり、体幹内の空間を二分して、「腹腔」「胸腔」分けています。
実は横隔膜は、かなり薄っぺらく頼りなさげな筋という印象です。
横隔膜のバイオメカニクス
横隔膜は、人間が生命を維持する上で欠かせない筋です。
先天的に横隔膜が欠損していれば、生命の維持は不可能です。
なぜかというと、横隔膜は、安静持の吸息活動の70~80%を担っています。
残りの20〜30%は、斜角筋や肋間筋が働いてくれています。
横隔膜が機能しなくなるということは、吸息活動の8割がダメになるということです。
これは厳しいです。
横隔膜の動き
横隔膜は吸気時に働き、収縮して下降していきます。
吸気時は、横隔膜の下にある腹横筋などの腹筋群の張力による腹圧の上昇によって抵抗を受けます。
安静時の吸気では、横隔膜は約1.5cm下降します。
強制吸気では、6~10cmと大幅に増加します。
最大吸気状態では、右側はTh11まで、左側はTh12まで下がります。
腹腔は、臓器があるため、液体で満たされています。
胸腔は気体で満たされています。
液体のほうが体積が変わりにくいため、抵抗がかかった際に、腹部側が固定され、胸腔側が動きます。
吸気時の、腹圧の上昇は下部肋骨を側方へ広げます。
いわゆる、バケツハンドル運動です。
上部肋骨がポンプハンドル運動、下部肋骨がバケツハンドル運動をしています。
横隔膜と関連する筋肉
横隔膜は、腱膜性弓という部分で大腰筋と腰方形筋と繋がりがあります。
つまり、横隔膜が働くには、大腰筋や腰方形筋の機能が必要ということです。
また、横隔膜の緊張すると、大腰筋や腰方形筋に伝わり、大腰筋や腰方形筋が緊張しやすくなります。
腰方形筋は、下位肋骨の安定性に関わります。
大腰筋は、腰椎(腰の骨)の安定性に大きな影響があります。
また、筋肉は、一端が固定点となることで、もう一端が可動点となり、収縮が可能です。
固定点も可動点も両方が動いてしまっては、効率の良い収縮はできなくなります。
大腰筋の腰椎を垂直方向に安定させるという機能のためには、腹横筋下部、腰椎・骨盤帯の安定性が必須であることがわかります。
また、吸気時の腹部からの抵抗は横隔膜の停止部の「腱中心」を安定させます。
このことにより、可動点と固定点が逆転して、横隔膜肋骨部の筋収縮によって肋骨を挙上させます。
つまり、横隔膜は中位、下位胸郭を前後左右に広げる働きがあります。
横隔膜の機能は下位胸郭を広げるには、姿勢の不良アライメントを改善する上でも重要です。
まとめ
肋骨が本来の動きを取り戻すことで、たくさんのメリットがあることがわかって頂けると嬉しいです。
肋骨が変わることで
- 身体の使い方が変わる
- プロポーションが変わる
- 姿勢が変わる
- 肩こりや腰痛が緩和する
- 呼吸がしやすくなり、疲れが取れやすくなる
などが期待できます。