「正座をすると膝が痛い・・・治りますか?」
意外と多い質問です。
患者さんだけでなく、友達や親戚などからも聞かれることが多い質問でもあります。
ところが意外と、はっきりと答えづらい質問なのです。
解剖学的に解説します。
正座して膝が痛いのは仕方ない???
膝関節(大腿膝蓋関節)の屈曲の正常可動域は0〜130度です。
正常関節可動域と計測法(日整会、日リハ学会制定)
http://www.koganet.ne.jp/~care/joint_angle.htm
正座時における膝関節(大腿膝蓋関節)の屈曲時の可動域は140〜150度です。
愛媛大学医学部附属病院 人工関節センター
https://www.m.ehime-u.ac.jp/hospitalajic/pages/department/clinical/knee_joint.html
ということは、正座をするという行為自体が、膝の関節の正常可動域を超えているため、膝の関節自体のダメージが大きいということになります。
正座をすること自体が、解剖学的には良くないということになります。
極論ではありますが、出来る限り正座はしないほうが良いということになります。
そういった意味では、正座をすると膝が痛いというのは、仕方がないとも言えます・・・
正座をしても膝が痛いままのほうがいい?
徒手療法や注射や投薬などの、なんらかの介入をして正座時の膝痛を緩和することはできるでしょう。
ところが、無理に介入を行わないほうがいい場合もあります。
関節は消耗品です。
耐用年数や使用回数が限られているとお考えください。
正座という行為自体が、膝関節の正常可動域を超えていますから、膝関節のダメージが大きくなります。
介入を行い、正座時の膝痛を緩和することで、正座の回数や時間が増えてしまった結果、関節の劣化消耗が進んでしまうことも考えられます。
その結果、本来よりも早く人工関節などのお世話にならなければいけなくなる可能性もあります。
とは言え、習い事や仕事などの関係で、どうしても正座をしなければいけない方もいます。
そういった場合は、なんらかの介入して、正座時の膝の痛みを緩和することは可能です。
可能ですが、膝の関節の負担は大きいため、なんとも複雑な心境です。
正座時の膝の痛みは、膝蓋骨(膝のお皿)の動きが重要?
あまり知られていないのですが、膝蓋骨の動きをスムーズにすることで、正座時の痛みを緩和することができます。
そんな膝蓋骨の役割は、「滑車」としての機能があります。
「滑車」は「てこ」の役目があります。
「てこ」は、筋肉の方向を変換し、筋肉が最大限に力を発揮できるようになっています。
膝蓋骨の場合は、大腿四頭筋の滑車です。
膝を曲げ伸ばしをする際に、膝のお皿は上下にシンプルに動いているわけではありません。
膝関節の関節面が非常に複雑な構造をしています。
そのため、膝のお皿は膝を曲げ伸ばしの際に、複雑な動き方をします。
また、太ももの筋肉である大腿四頭筋の引っ張りにより、うまく膝のお皿が滑らかに動くように調整されています。
この膝のお皿の動きがずれてうまく動かないことをトラッキングといいます。
膝が痛い方は、膝のお皿のトラッキングが起こっているケースが多く報告されています。
膝のお皿のトラッキングが改善すると、正座時の膝の痛みが劇的に改善する方もいます。
正座時の膝の痛みで困っている方は、一度は試してみる価値はあります。
まとめ
正座をするという行為自体が、膝の関節の正常可動域を超えているため、膝の関節自体のダメージが大きいということになります。
正座をすること自体が、解剖学的には良くないということになります。
極論ではありますが、出来る限り正座はしないほうが良いということになります・・・
膝のお皿の動きがずれてうまく動かないことをトラッキングといいます。
膝が痛い方は、膝のお皿のトラッキングが起こっているケースが多く報告されています。
膝のお皿のトラッキングが改善すると、正座時の膝の痛みが劇的に改善する方もいます。
正座時の膝の痛みで困っている方は、一度は試してみる価値はあります。