この記事をご覧になっているということは、
「太ももの外側、前面に痛みや痺れがでる」という症状でお困りではないでしょうか?
- 立ち上がる際に症状が強く出る
- 腰を反ると症状が強く出る
- 歩きはじめに症状が強く出る
- 寝起きで症状が強く出る
「もしかしてヘルニア?」
「坐骨神経痛?」
と思われたかもしれません。
「太ももの外側、前面に痛みや痺れがでる」という症状が出るということは、「大腿外側皮神経障害」を起こしている可能性があります。
サッカーやフットサル、野球にソフトボール、ゴルフや筋トレ、マラソンなど、スポーツなどをやっている方は注意が必要です。
- バクルアップなどで増量中
- 腹筋をかなり気合を入れてトレーニングしている
- 大腿四頭筋をかなり鍛えている
こういった場合は、さらに注意が必要です。
「大腿外側皮神経障害」が発生するメカニズム、改善するための考え方などを解説します。
太ももの外側、前面に痛みや痺れがでる「大腿外側皮神経障害」とは?
「大腿外側皮神経障害」は、大腿外側皮神経に障害が起きます。
「大腿外側皮神経障害」は「鼠径靭帯、縫工筋の圧迫」が原因となり、症状が出ることが多いです。
画像参照元 <触れてわかる腰痛診療。井須豊彦、金景成 編著。中外医学社>の図を一部改変 original44.html
スカルパ三角の鼠径靭帯と縫工筋の下を通るのが大腿外側皮神経です。
スカルパ三角とは、鼠径靭帯、縫工筋、長内転筋の3つで構成される三角形のことです。
スカルパ三角には
- 大腿動脈
- 大腿静脈
- 大腿神経
がスカルパ三角の中心付近を通っています。
「大腿外側皮神経障害」は「鼠径靭帯、縫工筋の圧迫」が原因となり、症状が出ることが多いのです。
鼠蹊靭帯について
鼠径靭帯は「上前腸骨棘と恥骨結合」を繋いでいる靭帯です。
また、外腹斜筋の停止部です。
ということは、鼠蹊靭帯と外腹斜筋は、深い関係があるということです。
外腹斜筋の作用
- 体幹の屈曲
- 体幹の反対側への屈曲、回旋
簡単にいうと外腹斜筋は
- スポーツなどで体幹部をひねる動き
- 体幹部をひねる腹筋のトレーニング
ということです。
スポーツやトレーニングを続け、外腹斜筋を含めた身体のケアを怠ると、外腹斜筋の働きが悪くなってきます。
外腹斜筋の働きが悪くなると、停止腱の部分で結合する「鼠径靭帯」に影響が出てきます。
「縫工筋」について
縫工筋は、上前腸骨棘〜脛骨粗面に付着する2関節をまたぐ長い筋肉です。
縫工筋の作用
- 股関節の屈曲、外転、外旋
- 膝関節の屈曲
- 下腿の内旋
簡単に書くと「あぐらをかく動き」が縫工筋の作用です。
縫工筋の重要な作用として、縫工筋は膝の内側の安定性を高める「鵞足」を構成します。
鵞足に炎症が起きることを鵞足炎といいます。
鵞足炎は、薄筋、半腱様筋、縫工筋の付着部に起きる炎症のことです。
発生原因は、
- Knee in – Toe out
- O脚・X脚
- オーバーユース
- 足首の不良
- 脛骨・腓骨の不良
が挙げられます。
縫工筋は、Knee in – Toe outの動きを制御する働きがあります。
Knee in – Toe outのクセがあるまま、スポーツやトレーニング、ジョギングやマラソンなどを行っていると、縫工筋に大きな負担がかかります。
縫工筋に大きな負担がかかることで、「大腿外側皮神経障害」に影響を及ぼす可能性があります。
「大腿外側皮神経障害」を改善するための考え方
- 鼠蹊靭帯へのアプローチ
- 縫工筋へのアプローチ
「大腿外側皮神経」は、鼠径靭帯と縫工筋の下を通過します。
縫工筋と外腹斜筋の機能を改善することで、スカルパ三角での神経の大腿外側皮神経の圧迫を軽減出来る可能性があります。
ところが、注意していただきたいのが、安易にストレッチなど、ほぐせば良いというわけではありません。
場合によっては悪化することもあります。
理由があって、鼠蹊靭帯や縫工筋が機能低下しているわけですから、単に結果にだけアプローチすることは危険です。
鼠蹊靭帯は、恥骨や腸骨の動きに大きく関わります。
恥骨や腸骨や、股関節や背骨とも関係が深く、全身とも連動しています。
また、縫工筋も同様に、Knee in – Toe outを制御する機能があります。
ということは、縫工筋は回内足、足首の動き、脛骨・腓骨の動き、膝関節の動き、股関節、腸骨の動きに関わります。
単に縫工筋と鼠蹊靭帯にだけアプローチしても、またすぐに再発します。
全身の関節や筋肉の状態を考慮し、アプローチを組み立てていく必要があるでしょう。
まとめ
スカルパ三角の鼠径靭帯と縫工筋の下を通るのが大腿外側皮神経です。
「大腿外側皮神経障害」を改善するための考え方としては
- 鼠蹊靭帯へのアプローチ
- 縫工筋へのアプローチ
が重要となります。
参考論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2005/0/2005_0_A0601/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2005/0/2005_0_A0601/_article/-char/ja/