「朝起きると腰が痛い!」
という患者さんは、臨床をやっていると遭遇することが多い症状です。
「朝起きると腰が痛い!」という症状の原因は、単純の脊柱の可動性が少ないなどの問題もありますが、他にも様々な原因が考えられます。
「朝起きると腰が痛い!」の方の多くは、「股関節が内旋し過ぎている」ことも挙げられます。
特に、右の股関節ですね。
股関節を内旋する強力な筋肉として、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯という筋肉があります。
ということは、「朝起きると腰が痛い!」というのは、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯がきっかけ?ということも考えられます。
解説します。
股関節が内旋すると、腰が痛くなるメカニズム
股関節を内旋させる強力な筋肉は大腿筋膜張筋・腸脛靭帯
↓
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯が強く働くと、
- 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、「股関節の内旋」が強くなります。
- 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、「下腿には外旋」が強くなります。
↓
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、骨盤が前傾(反り腰)します。
↓
骨盤の前傾を促すということは。反り腰の状態を作りやすくなります。
↓
骨盤の前傾が強くなると、腰椎のせん断力が強くなります。(特に仰臥位において)
↓
- 腰の痛み
- 背中の痛み
- 股関節の前側のつまり、痛み
というリスクが発生します。
「朝起きると腰が痛い!」
という方で、股関節が内旋傾向が強い方は、上記のメカニズムで腰痛が発生している可能性が高いのです。
特に、右の股関節が強く内旋する傾向があり、右の腰が痛くなりやすい方が多いのではないでしょうか?
改善していくには、
「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯をあまり働かせないようにする!」
ということが、重要になります。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の解剖学とバイオメカニクス
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の解剖学
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯は、股関節〜膝をまたぎ、股関節・膝関節の動きに関わります。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯は大臀筋、中臀筋と連結しています。
腸脛靭帯は靭帯という名前がついていますが、筋肉的な仕事をしています。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯のバイオメカニクス
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の作用として
- 股関節 内旋・屈曲・外転
- 膝関節 屈曲 伸展
- 下腿の外旋
股関節外旋で、膝関節を外側から支える形で「動作の安定」を保ちます。
股関節内旋する時に「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」が強く働きます。
膝関節の作用で屈曲・伸展となっていますが、どういう事でしょうか?
屈曲・伸展ということは、正反対の動きですよね?
そんなことはあるのでしょうか?
実は、「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」は膝関節の屈曲角度で作用が変わるのです。
- 膝関節屈曲90°以下(膝を深く曲げる動作)で、「膝伸展」
- 膝伸展屈曲90°以上(膝を浅く曲げる動作)で、「膝屈曲」
なんと、膝関節90°を境目に、作用が切り替わるのです。
スクワットの切り返しや、立ち上がる時など、股関節の挙上方向に働くと、多くの場合「膝を深く曲げる動作」(膝関節屈曲90°以下)です。
「膝関節屈曲90°以下」になると、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯が「膝伸展」に作用し股関節(骨盤)挙上の手助けをします。
股関節を内旋する事で、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯をフル活用して、立ち上がり動作を手助けすることを可能にするわけです!
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯をフル活用し過ぎてしまうと、股関節内旋が強くなり、骨盤前傾の傾向が強くなります。
結果、腰椎にかかるせん断力が強くなり、朝起きる際の腰痛の原因になります。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯をフル活用しすぎるのもほどほどにしましょう!
まとめ
股関節内旋は何が原因?
↓
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働くと、
- 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、「股関節の内旋」が強くなります。
- 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、「下腿には外旋」が強くなります。
↓
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を強く働かせることで、骨盤を前傾を促します。
↓
骨盤の前傾を促すということは。反り腰の状態を作りやすくなります。
↓
骨盤の前傾が強くなると、腰椎のせん断力が強くなります。(特に仰臥位において)
↓
- 腰の痛み
- 背中の痛み
- 股関節の前側のつまり、痛み
というリスクが発生します。
「朝起きると腰が痛い!」
という方で、股関節が内旋傾向が強い方は、上記のメカニズムで腰痛が発生している可能性が高いです。
改善していくには、
「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯をあまり働かせないようにする!」
ということが、重要になります。