この記事をご覧になっているということは、四十肩(40肩)・五十肩(50肩)と病院や整形外科等で診断を受け、お困りではないでしょうか?
もしくは、他で施術も受けているが、思うようになかなか良くならず、色々と検索していたら、この記事にたどり着いた。
そんな方もいると思います。
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)は一般的に治りづらいとされています。
と言いますのも、肩の動きは、非常に複雑な構造で、複雑な動きをしています。
1つの関節の動きだけではありません
- 肩甲上腕関節
- 肩甲胸郭関節
- 肩鎖関節
- 胸鎖関節
- 肋鎖関節
なんと5つの関節運動が関与します。
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)は、たくさんの関節、筋肉が関与していることから、治りづらいということです。
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)を解剖学的に解説しました。
あまり面白い記事ではありませんが、参考にしていただけると嬉しいです。
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)を改善するためのポイント!
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)は、肩甲骨を正しい位置に収めることができなくなり、インピンジメント症候群などが発生し、四十肩(40肩)・五十肩(50肩)になっています。
ところが四十肩(40肩)・五十肩(50肩)は、痛みや炎症の発生の仕方は、多岐にわたり複雑です。
そのため、具体的に「この運動をやりましょう!」とお伝えはできないのですが、改善するポイント、フローはお伝えします。
ここで注意していただきたいのが、インピンジメント症候群が起きていると、痛みをこらえて無理に動かすと腱板断裂(棘上筋断裂)する危険性もあります。
インピンジメント症候群が起きている段階で、筋力トレーニングやストレッチを無理に行うと、効果が期待できないどころか、帰って悪化させる危険性もあります。
筋力トレーニングやストレッチの効果を得るには、関節可動域、関節の適合性を改善させつつ、。歩調を負わせながら無理せず行いましょう!
理想的な四十肩(40肩)・五十肩(50肩)改善の流れ
- 胸郭、肩甲骨周辺の筋肉をほぐす。
- 三角筋などの肩の筋肉が上腕骨頭の上で十分に滑るようにする。
- 水平内転と側方挙上のポジションでの外旋の可動域を広げる。
- 前方挙上や内旋など、さまざまな方向に動かし、肩関節の可動域を広げる。
- 筋力強化して、再発予防
という流れになります。
筋力強化して、「肩甲骨を正しい位置に収める力」を強化です!
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)の分類 6つ
- 肩峰下滑液関節包炎 :肩峰下滑液関節包の炎症で腫脹、疼痛や運動制限があります。60代に多い傾向があります。
- 腱板炎 腱板の炎症で、:疼痛や運動制限を認める。40歳代に多い。
- いわゆる四十肩(40肩)・五十肩(50肩) :痛みや拘縮はあるが、炎症部位は特定できない。50代に多い。
- 烏口突起炎 :烏口突起には多くの筋肉が付着しているため、。炎症を起こしやすい。
- 石灰沈着性腱板炎 :急性に発生し、激痛と著名な可動域制限がある。40歳代に多く、女性に圧倒的に多い。
- 上腕二頭筋長頭腱炎 :上腕骨の前方、長頭腱が通る結節間溝を中心とした痛みがある。40歳代の男性に多い。
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)の方は、肩甲骨が機能障害を起こしている?
肩甲胸郭関節は肩甲骨と胸郭(肋骨)によって構成されている生理学的関節です。
肩甲上腕関節や肩鎖関節、胸鎖関節のような滑膜性関節とは異なり、骨と骨ががっちりと噛み合う関節ではありません。
肩甲骨は、胸郭の形状よりも、肩甲骨周辺にある軟部組織(筋肉など)から強い影響を受けています。
肩甲骨のポジションに影響を与えている僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋、前鋸筋、小胸筋などは、肩甲骨、鎖骨、また上腕骨から脊椎の各部位に向かって走行しています。
また、僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋、前鋸筋、小胸筋は、肩甲骨に付着部位を持っている筋肉であるので、肩甲骨の状態に直接的に影響を及ぼします。
また、広背筋や大胸筋は、肩甲骨に付着していないため、間接的な影響を与えます。
特に僧帽筋、肩甲挙筋、前鋸筋は胸郭の上での肩甲骨の安定性にとって重要な役割を果たしています。
僧帽筋、肩甲挙筋、前鋸筋の機能低下は、肩甲骨内側縁の不安定性の要因になります(翼状肩甲骨)。
肩甲上腕リズムという、上肢の挙上時、肩甲骨は上腕骨の運動に連動する独特のメカニズムがあります。
肩甲上腕リズムの際に、肩甲骨は上腕骨頭の受け皿となっています。
肩甲骨が胸郭上で不安定な場合、上腕骨頭の運動障害が引き起こされ、インピンジメント症候群等の問題が発生します。
肩甲骨は、胸郭上で安定性が必要ということです。
つまり、腕や手にとって「肩甲骨=受け皿」の役割があるということです。
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)の方は、「肩甲骨=受け皿」の役割が失われているため、「上腕骨=受け皿」の役割になってしまい、負担が大きくなり、インピンジメント症候群等などが起き、炎症が起きて痛みが出るということです。
肩甲骨の役割はスタビリティ
繰り返しになりますが、肩甲骨に求められている機能は安定性です。
腕や手を安定して使うためには、胸郭上で安定性が必要ということです。
安定性は、固定性とは異なります。
とは言え、肩甲骨は、動き過ぎていても不安定になり、問題が出ます。
闇雲に肩甲胸郭関節の可動性をあげればいいというわけではないということです!
肩甲胸郭関節の機能は、ステビリティです。
肩甲胸郭関節の機能は、モビリティと思われがちですが、ステビリティなのです。
肩甲胸郭関節の機能であるステビリティが失われているために、肘などの負担が大きくなり、負担が大きくなり、炎症が起きて痛みが出るということです。
上腕骨の負担を減らすためにも、肩甲胸郭関節の機能を理解し、うまく使えるようにすることは非常に重要です。
肩甲胸郭関節のバイオメカニクス
肩甲骨の運動は、胸郭面に沿う滑り運動と肩鎖関節を運動軸とする回旋運動に分類できます。
滑り運動と回旋運動は、単独で起こることはなく、滑り運動と回旋運動の組み合わせで起こります。
胸郭面に沿う滑り運動
滑り運動には
- 挙上
- 下制
- 外転(前突
- 内転(後退)
があります。
中立位(休息位)では、肩甲骨の外側縁は内側縁よりも前方にあります(内旋位)。
このとき、肩甲骨は前額断面の前方約30°の断面で、肩甲断面と呼ばれています。
肩甲骨の回旋運動
肩甲骨の回旋運動は、
- 上方回旋
- 下方回旋
- 内旋
- 外旋
- 前傾
- 後傾
です。
上肢の挙上時、肩甲骨は上腕骨の運動に連動します(肩甲上腕リズム)。
このとき、肩甲骨は上腕骨頭の基盤となっています。
そのため、肩甲骨が胸郭上で不安定な場合、上腕骨頭の運動障害が引き起こされ、インピンジメント症候群等の問題が発生します。
肩甲骨外在筋群の作用
僧帽筋 | 肩甲骨の内転(後退)挙上、上方回旋、頭頚部の伸展、下制 |
前鋸筋 | 肩甲骨の外転、上方回旋、下方回旋、肋骨の挙上 |
大菱形筋・小菱形筋 | 肩甲骨の内転、挙上、下方回旋 |
肩甲挙筋 | 肩甲骨の挙上、下方回旋 |
小胸筋 | 肩甲骨の下制、下方回旋、肋骨の挙上 |
大胸筋 | 肩甲骨の外転(前突)、肩関節の内転、屈曲、内旋、水平屈曲、吸気の補助 |
広背筋 | 肩甲骨の内転、下方回旋 肩関節の伸展、内転、内旋 |
肩甲骨内在筋群の作用
三角筋(前部、中部、後部) | 前部: 肩関節の屈曲、内旋 外転、水平屈曲 中部: 肩関節の外転 後部: 肩関節の伸展、外旋、外転、水平伸展 |
大円筋 | 肩関節の伸展、内転、内旋 |
肩甲下筋 | 肩関節の内転、内旋 |
棘上筋 | 肩関節の外転 |
棘下筋 | 肩関節の外旋、外転、内転 |
小円筋 | 肩関節の伸展、内転、外旋 |
烏口腕筋 | 肩関節の内転、屈曲の補助、水平屈曲 |
肩甲骨が上手く機能していないパターン3つ!
- 肩甲骨「内側」の機能不全
- 肩甲骨「下部」の機能不全
- 肩甲骨「上部」の機能不全
に分けることが出来ます。
この中でも特に多いのが、「肩甲骨の内側の機能不全」です。
肩甲骨の内側が体幹部から離れてしまい、肩甲骨がうまく機能できない状態を「肩甲骨の内側の機能不全」といいます。
その結果起こる姿勢が、「猫背」のような不良姿勢です。
「肩甲骨の内側の機能不全」では、筋力トレーニング、投球動作などで肩の故障リスクが増えます。
「肩甲骨の内側の機能不全」に伴い、胸椎の伸展動作もうまく行えなくなっていることも多いです。
「肩甲骨機能不全」が起こる原因として最も多いのが
- 体幹部(姿勢維持)の筋出力の低下
- 前鋸筋・菱形筋・僧帽筋の筋出力の低下
があります。
「肩甲骨の内側の機能」 を上手く働かすためには、「伸展ー収縮」の刺激が大切です!
「肩甲骨を正しい位置に収める力」が重要になります。
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)の発生するメカニズム
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)の方の主訴は、肩関節前部と上部の痛み、肩甲骨後上部の痛み、上腕近位外側部に痛みを訴える方が多いです。
最も多い主訴が、肩関節前部、上腕近位外側部の痛みです。特に烏口突起の痛みが特徴的です。
(烏口突起は、この部位は小胸筋の停止となっています。
四十肩(40肩)・五十肩(50肩)方の肩甲骨は、前傾に加え外転に変位していることが多いです。
ということは、烏口突起は前下方、さらに外方へ変位しているわけですね。
烏口突起は前下方、さらに外方へ変位するということは、烏口突起に付着部位を持つ小胸筋と上腕二頭筋短頭は緊張します。
小胸筋と上腕二頭筋短頭の緊張は肩甲骨の異常変位を、さらに促してます。
肩甲骨の前傾変位の原因として考えられるのが、小胸筋と前鋸筋の機能低下です。
また、上腕近位外側部の痛みも、肩甲骨の異常な運動パターンが原因です。
通常の場合は、上肢挙上に伴い、鎖骨遠位端は挙上して、鎖骨は後方回旋が起きますが、肩甲骨には後傾が発生します。
つまり、鎖骨遠位端の後方回旋と肩甲骨の後傾が生じることで、肩峰下スペースが確保され、インピンジメントの発生が回避されるわけです。
ところが、四十肩(40肩)・五十肩(50肩)の方の場合、肩甲骨の後傾がうまくできないため、上肢挙上に伴いインピンジメントが発生します。
インピンジメントを繰り返すことで、、四十肩(40肩)・五十肩(50肩)の原因になります。
肩が上がらないという症状の他に、外旋制限、水平内転制限が起きます。
まとめ
- 胸郭、肩甲骨周辺の筋肉をほぐす。
- 三角筋などの肩の筋肉が上腕骨頭の上で十分に滑るようにする。
- 水平内転と側方挙上のポジションでの外旋の可動域を広げる。
- 前方挙上や内旋など、さまざまな方向に動かし、肩関節の可動域を広げる。
- 筋力強化して、再発予防
ここで注意していただきたいのが、インピンジメント症候群が起きていると、痛みをこらえて無理に動かすと腱板断裂(棘上筋断裂)する危険性もあります。
インピンジメント症候群が起きている段階で、筋力トレーニングやストレッチを無理に行うと、効果が期待できないどころか、帰って悪化させる危険性もあります。
筋力トレーニングやストレッチの効果を得るには、関節可動域、関節の適合性を改善させつつ、。歩調を負わせながら無理せず行いましょう!